全国52の信用保証協会が中小企業の債務保証のために設けている基金に対し、経済産業省が個々の保証実績に応じないで補助金を配分したため、多くの協会の基金残高が過剰になっていることが、会計検査院の調べで分かった。検査院は28日、経済産業大臣に、交付基準の見直しや、基金の過剰分を国へ返還させる措置などを求めた。
この基金は「制度改革促進基金」で52協会の2008年度末の残高は約170億円。検査院は、40協会の各基金残高が1年間に必要な基金の額の約2~24倍で、計約88億円が過剰と試算している。同省は基金が設けられた05年度以降、年間約41億~70億円の補助金を各基金へ配分している。
各協会は、中小企業が金融機関の融資を受けやすくする国の施策の一環として、企業の債務の8割を保証し、債務不履行になった場合は代わりに返済する事業を実施。代わりに返済した額のうち7、8割は日本政策金融公庫からの保険金でまかなえるが、残りはこの基金から取り崩している。
経産省中小企業庁金融課は「今後は補助金を保証実績を主として配分する。基金は協会の他の事業でも活用できるようにしたい」としている。 (朝日新聞)