ユリウスさんのブログ

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「名文どろぼう」という抜粋本

 碁友のT氏(高槻市)から面白い本を借りた。竹内正明著「名文どろぼう」という抜粋本。著者は読売新聞論説委員で朝刊一面のコラム「編集手帳」6代目の執筆者だそうだ。道理で「よくもまぁこれほど…」と思うほど引用が多い。引用が多い文章は往々にして、話の流れがギクシャクしたり、ペダンチックになりすぎたり、引用者の力量不足が露呈していたり、とかく欠点が目立つものだが、この本はそういう評価を免れている。文章の切れ味もなかなかいい。

竹内正明著「名文どろぼう」



 「どれほどおもしろいのか?」って? 一つだけ引用しておきましょう。

「ナイジェリアのゴウォン将軍が国賓として英国を訪問したときのことである。ロンドンのヴィクトリア駅まで、エリザベス女王が馬車で出迎えた。一緒に宮殿へ向かう途中の、愉快なこぼれ話が伝わっている。

「二人が馬車に乗っていると、一頭の馬が尻尾をあげて、おならをした。女王はゴウォン将軍の方を向いて言った。
『まあ、申し訳ありません。いらして早々、こんな失礼を』
『いや、どうぞ、お気になさらないでください。』ゴウォン将軍は言った。『私はてっきり馬がしたのだと思っていましたから』 
      - キティ・ケリー「ザ・ロイヤルズ」 吉澤康子訳 祥伝社 -

女王の憮然とした顔が目に浮かぶ。」(以下略)

 馬の粗相を謝った女王も偉いと思うが、それを勘違いしたゴウォン将軍はもっとエライ!



 翔年も竹内さんにあやかって、最近古本屋で買った本から一箇所引用させていただこう。

 養老猛司著「かけがえのないもの」


「まず出していい所は顔と手。女性は、その出していい顔と手を徹底的にいじる。顔は白く塗り、たいていは赤い口紅を塗って目の周囲を青くする。赤、白、青という三色の取り合わせは、マンドリルの雄の色でもあって、霊長類にはもっとも影響の強い色合いです。」
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