ベトナムで製油所の建設・運営に進出するなど、積極姿勢が目を引くJXホールディングスの財務・株価分析をしてみました。
ベトナムのプロジェクトは、ペトロベトナムとの合弁であり、資金計画など不明確な点も多いことから、分析の中に織り込んではいません。
また、JXホールディングス自体が今年4月にスタートしたばかりで、新しい四季報にも一部の数値が抜けているため、会社の決算説明資料や経営方針資料で補っています。
まず株価データから。7月9日の終値は490円です。
次に財務データです。全て一株当りの数字であることにご注意ください。今期(2011年3月期です)の利益が(一株当り)98円と、前年の29円から大きく増加します。理由は、新日本石油と新日鉱ホールディングスの統合に伴う「負ののれん代」という特殊要因です。来期は32円と通常の水準に戻ります。
財務分析は次のようになります。今期については、「負ののれん代」効果で、営業利益率が1.33%であるにもかかわらず、当期利益率が2.72%に跳ね上がります。基本的には、経営統合によって、資産回転率が低下気味です。製油所の統合などで、効率改善の余地が大きいと思われます。
それでは株価評価です。来期ベースで見ると、株価490円はBPS(一株当り純資産)707円とPBR(株価純資産倍率)0.69倍で構成されます。PBR0.69倍は、PSR(0.14倍)、総資産回転率(1.38回転)、財務レバレッジ(3.65倍)に分解されます。そこで、適正PSRを0.16倍と見て、目標株価を算出すると、目標株価は約570円。16%の上昇余地があると見ることができます。
なぜ適正PSRが0.16倍なのか? このPSRを使ってPBRを算出すると0.81倍のPBRとなり、ここ3年の上限である前期と同水準になるためです。海外進出が評価されれば、さらにプレミアムが期待できるのですが、一応保守的に考えています。
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