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ストレステスト 欧州金融システム

[ブリュッセル 8日 ロイター] 欧州銀行監督者委員会(CEBS)は7日、欧州金融システムの健全性を市場にあらためて示すための銀行ストレステスト(健全性審査)の実施概要を明らかにした。
 

 <審査対象となる銀行>

  

 対象行はドイツ銀行(DBKGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)からマルタのバレッタ銀行BOV.MTまでの91行で、欧州銀行セクターの65%を網羅。ドイツ州立銀行7行、カハと呼ばれるスペインの貯蓄銀行全てと、未上場の貯蓄銀行も含まれる。

 審査対象となる銀行は、各国の銀行セクターの少なくとも50%に相当する。

 EU各国当局は当初、国をまたがって展開する大手25行を対象に実施する予定だったが、欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)は各国に対象行を拡大するよう要請した。

 

 <審査の仕組み>
  

 独連邦金融サービス監督庁(BaFin)などの各国監督機関が実施し、欧州銀行監督者委員会(CEBS)が調整役となる。

 審査は景気が悪化した場合などを想定し、各行がローンやその他の資産への影響にどの程度耐えうるかを審査する。結果は個別の銀行ごとに公表されるが、どこまで詳細が開示されるかは不透明。どの程度の詳細が公表されるかは、7月12─13日のEU財務相会合で決定される見通し。

 審査では、今後2年のEU域内総生産が欧州委員会の見通しを3%ポイント下回った場合を想定する。また、国債価格が5月初旬の低水準から一段と下落した場合などの「ソブリン債ショック」も審査のシナリオに盛り込まれている。

 ドイツの銀行筋は、ギリシャ国債について、16─17%のヘアカット(担保の掛け目)が適用されることを明らかにした。これは、現在の水準から約40%のヘアカットとなる。

 ストレステストでは、中核的自己資本(Tier1)への影響が審査される。ECBは、各行がさまざまなシナリオでTier1比率6%以上を維持できるか審査する方針。

 

 <審査結果の公表時期>
 

 審査結果は7月23日に公表される。

  

 <審査の結果は>

  

 大手25行については、深刻な問題は指摘されない見通し。これらの銀行は2007─2009年の世界的な金融危機以来、財務増強に努めており、市場からの資金調達能力にも問題ない。ドイツの関係筋がロイターに述べたところでは、ドイツ銀行、コメルツバンク、バイエルン州立銀行[BAYLB.UL]は、審査に「合格」した。

 バランスシートに深刻な問題が発見される恐れがあるのは、ドイツの州立銀行やスペインの貯蓄銀行「カハ」など二番手、三番手の銀行だ。ドイツの州立銀行が問題のすべてを公表していると信じる向きは少ない。

 ギリシャとポルトガルの銀行の多くでは、ソブリン危機を受け民間市場での資金調達に支障が出ており、ECBからの資金に頼っている。
 

 しかしECBとEU各国政府の高官は、ストレステストで欧州銀行システムの健全さが示される、と主張。フランスのラガルド経済財務雇用相は「欧州の銀行が強固、健全ということが分かる」と述べた。

 金融関係者やアナリストの多くは、一部の銀行で問題があった場合には、当局は、それがその銀行個別の問題で、国の銀行システム全体を揺るがすほど深刻でないと示すよう配慮すると予想している。

 

 <市場は安心するか>

  

 欧州の銀行の一部についてはストレステストが昨年行われたが、個別銀行の結果は開示されず、市場の信認を得ることはできなかった。

 今回のテストはその規模や透明性の点で、米国が実施したものと似たものになる。米国では市場の懸念払しょくに一定の成功を収めた。
 ただし、審査に使ったシナリオが銀行に甘かったり、結果の一部しか公表されなかったりすれば、投資家はストレステストについて、市場の見方を操作し根深い問題を隠すためだった、とみなすだろう。そうなれば、ストレステストは逆に市場の警戒感を強める結果となる。

 

 審査方法の多くの詳細はまだ明らかになっていないものの、その方法を疑問視する向きもある。例えば、想定されるソブリン債ショックについて、銀行の中には、国債を償還まで保有するとし、評価損を出すことを拒む銀行もあるかもしれない。

 また、金融危機下での米国の銀行の問題がバランスシートの質だったのに対して、多くの欧州の銀行にとり資金繰りが一番の問題となっている。

 ECBがより長期の資金供給を減らし始めていることに加え、今後数カ月以内には上限なしの資金供給が廃止されるとの見方から、銀行間市場の短期金利は3カ月で20ベーシスポイント(bp)近く上昇している。

 

 ストレステストの結果が開示されたあとは、表面化した問題に対処するため、各国政府が迅速に行動するかが次の注目材料となろう。

 ECB高官は、自己資本比率の指針の6%を満たせない銀行が無秩序に破たんする事態を避けるため、緊急安全網の整備を各国政府に求めている。各国の一部ではすでにこうした安全網を創設している。
 銀行のバランスシートは複雑で不透明な部分も多いため、欧州経済が力強い自律的成長に戻るまでは、市場は安心しないかもしれない。

 

 <政府は対処可能か>

 

 政府は銀行の問題に対処できるだろうが、そのためにはコストや時間がかかるだけでなく、政治的な問題もある。

 スペインはおよそ1年前に、銀行の秩序だった再編のための基金を設立している。この基金は当初資本は90億ユーロだが、国の保証付きで、債券市場で900億ユーロを借り入れることができるという。

 関係筋によると、ドイツではストレステストに合格できなかった銀行については、資本市場で資金調達するか、または金融市場安定化基金(Soffin)を利用するよう、連邦銀行(中銀)が要請する。Soffinには3000億ユーロが用意されている。

 ギリシャ政府は、国際通貨基金(IMF)との合意に基づき、自己資本比率が低下して市場での資本調達ができない銀行に対する100億ユーロ規模の支援メカニズムを創設すべく、法律を準備している。
  

 レーン欧州委員(経済・通貨問題担当)は5日、欧州諸国が、問題を抱える銀行の支援に充てる資金が枯渇した場合、EUが5月に発表した5000億ユーロのEU緊急支援措置を活用できると表明した。

 緊急支援を受けるには数週間の手続き期間が必要だが、ECBは国債買い入れなどの介入に即座に動き、銀行の資金繰り悪化に対処することができる。

ストレステストとは銀行を調査して、今どういう状態であるかを判定し、それで債権しなければならなければ、資金投入して健全になる策を示せるかであり、またそのこと、やり方など評価できるかである
如何に市場を安定させるかどうかであるが 難しい問題である
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