6月29日に経済産業省が発表した5月の鉱工業生産動向をベースに作成した出荷在庫バランスを使って、日本の景気の状況を見ておきたいと思います。
結論を先に申し上げておくと、景気の頭打ちが一段と鮮明になっています。昨年春からの上昇局面を支えてきた耐久消費財や生産財のピークアウトが鮮明です。注目は、好調に上げ続けてきた資本財も頭打ちとなったこと。一方で、回復が遅れていた建設財が上昇を見せていることです。
以上を一言でいえば、景気はこれから良くなるのではなく、悪くなるということです。
ただし、重要なポイントがあります。景気が悪くなれば、株価も下落する傾向がありますので、年初にも申し上げた通り、今年の後半は警戒が必要な時期でした(「2010年の株式市場を考える・・・年後半の失速に警戒を!」)。ところが、欧州問題や中国の引き締め問題などから、株価が早々と下落してしまいました。したがって、今後の株価の下落幅は想定よりも小さく、10,11月ごろには次の上昇局面を念頭に置いた積極的なスタンスが必要になってきそうな気配です(「2010年後半のマーケットをどう見る?」)。
それでは、5月の鉱工業出荷在庫バランスです。出荷数量の増減率から在庫数量の増減率を差し引いて作成した景気指標です。頭打ちが鮮明になっています。
乗用車を中心とする耐久消費財の出荷在庫バランスです。出荷の勢いが弱まるのと反比例するように在庫の勢いが増しているのが気になります。
衣料や食品などの非耐久消費財は、ディフェンシブな特性があり、比較的に安定しているのですが、それでも下落が目立っています。
今月の注目は機械などの資本財です。力強い上昇基調を維持していたのですが、とうとう頭打ちの兆しを見せ始めました。
一方、低迷が目立っていた建設財は上昇しています。循環面の遅れという面を考慮すると、基調の強さはしばらく続きそうです。
最後に、電子部品や鉄鋼、化学製品などの生産財。耐久消費財ほどではありませんが、頭打ちが一段と鮮明です。
以上のように、在庫循環という景気の短期サイクルの観点では、景気は改善に向かっているのではなく、悪化に向かっていると思われます。、
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