「2010年後半のマーケットをどう見る?」(7月1日)に関連して、読者様から次のようなご質問を受けました。重要なポイントだと思いますので、本文で私の見方をご紹介しておこうと思います。
ご質問
たまに質問させていただいている者です。 "より長い経済波動が下落局面ではないために、調整は短期に終わる可能性が高いということです" "米国とは局面が異なります。というか「逆」なのです。" 単純につなげて読むと、より長い経済波動が下落局面にある米国では調整が短期に終わらない可能性があるということになりますが、このあたりはどうなのでしょう?仮に米国の調整が長引くとした場合に日本だけ短期に終わるとは考えにくいですよね?
私の見方
いつもブログをご覧いただき、大変にありがとうございます。今後とも是非よろしくお願いいたします。
日頃、日米の株価の連動性の高さを重視して、米国市場の状況に注目しながら投資判断をしています。米国株式市場の動きが世界の株式市場に大きな影響力を持っているわけですから、当然のことなのかもしれません。
短期的には、世界中のマーケットが米国を見ているわけですが、私は景気の短期循環である在庫循環モメンタムがきれいに連動していることを重視しています。
これからも、短期に見れば日米の動きは相変わらず高いと思っています。
ところがより長期に日米の株価を見ると、決して連動しているようには見えません。日本のバブルのピークから見れば、株価は39,000円近くから7,000円割れまで落ち込みました。同じ時期に米国は2,500ドル程度から14,000ドルまで上昇しています。日本は82%程度落ち込む一方で、米国は5,6倍となったわけです。面白いことに、日本の下落率82%の逆数を計算すると5.6倍。要するに日米の株価の動きは「逆」なのです。ちょっと古いのですが、下の図をご参照ください。
なぜか?
景気の長期波動である建設サイクルに注目しています。住宅着工戸数で見ると、日本はバブルのピーク170万戸から100万戸割れまで減少する一方で、米国は101万戸から206万戸まで上昇しています。
現在は、リーマンショック後の低迷で、日米ともに著しく停滞しているのですが、長期的に見ると日米は逆の動きをしています。米国は、サブプライム・ローンで膨張しきったところからの下落であるのに対して、日本は、もうとっくに下げてしまったところでの停滞です。この長期サイクルの日米の方向性は異なるようです。
というわけで、日米の株価は、短期的に見る限り連動性が高いのですが、長期的波動の影響による微妙な差の累積が、長い目で見ると大きな株価の格差になると考えています。
微妙な差とは、長期サイクルが上昇局面にある場合には、短期サイクルの上昇局面が長く大きくなる傾向があり、下落局面が短く小さくなる傾向があることによって生じるものです。長期サイクルが下落局面にあれば、短期サイクルの動きも逆になってきます。
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