先日、ある投資雑誌からインタビューを受けました。2010年後半のマーケットをどのように見るかについて、Q&Aの形式で簡単に内容をご報告しておきたいと思います。
Q:景気回復への期待が高まっていますが・・・
A:景気は悪くなると思っています。6月7日に内閣府が、直近の景気の谷は2009年3月であったと発表しました。景気は1年3カ月にわたって上昇してきたわけです。株価の上昇率も一時は6割を越えました。これから回復というのは虫のいい見かただと思います。
Q:景気悪化の理由は?
A:景気循環です。正確には在庫変動によって引き起こされる短期の景気波動によるものです。鉱工業在庫循環モメンタムという指標を用いると、2009年2月の底を打って、既に頭打ち傾向が鮮明です。今後の動きをシミュレーションすると、指標はさらに下降を続けます。(在庫循環モメンタムについては。「ご質問に答えて:出荷在庫バランスについて」をご参照ください)
Q:景気が悪化するならば、株式投資は控えるべきですか?
A:そのようなことはないと思います。在庫循環モメンタムが下落する局面では、電力、食品、医薬などのディフェンシブ株が上昇する傾向があります。東京電力に注目しています。また、信用売りを積極的に利用するのも良いかもしれません。投資期待はふんだんにあります。
Q:景気の悪化は長く続くのでしょうか?
A:短いのでは。既に下降局面に入っています。重要なのは、より長い経済波動が下落局面ではないために、調整は短期に終わる可能性が高いということです。
Q:より長期の経済波動とは?
A:建設サイクルです。姉歯問題、建築基準法改正、リーマンショックンなどが相次ぎ、基調が弱いように見えるのですが、サブプライム・ローンで底上げされた住宅バブルの崩壊で苦しむ米国とは局面が異なります。というか「逆」なのです。
Q:いつごろからマーケットは反発するのですか?
A:早ければ10月、11月ごろ。ヘッジファンドの決算処理が終わるころです。
Q:具体的な投資戦略は?
A:しばらくはディフェンシブ。対象銘柄を拡げても、円高メリットの内需関連あたりまで。レンゴーや東京製鐵の注目しています。そして、10月、11月に大きな調整があれば、より長期的な視点に立った銘柄選択が望ましいと思っています。
Q:より長期的な視点に立った銘柄選択とは、具体的に?
A:たとえばスマートグリッド。既に人気化しているので、マーケットの調整とともに、値を消してくれると具合がいいと思っています。このテーマは巨大なインフラという側面があるので、日立製作所の総合力が意外に面白いと思っています。また、スマートメーターがこのインフラのカギになるので、富士電機HDや大崎電気工業に注目しています。
Q:超長期の経済波動に興味をお持ちと伺いましたが?
A:公文俊平氏が提唱されている日本経済の60年サイクルに興味を持っています。それによれば、現在は、日本経済は江戸末期から数えて3つ目となる30年にわたる上昇期の初期段階に当たっています。今回の上昇期の始点は2005年。(「長期波動を考える」)
Q:でも、日本経済は高齢化社会を迎えて停滞するのでは?
A:そんなことはないでしょう。エネルギー源としての石油と、ガソリンエンジンで走る自動車が象徴していた20世紀が本当の意味で終わろうとしています。
今、路上を走っている世界中の自動車がすっかり入れ替わり、証明もLEDに置き換わり、火力発電が自然エネルギー発電や原子力発電に置き換わることだけを考えても、途方もないビジネスチャンスが創出されていきます。
そのビジネスチャンスを取り込むために必要とされる労働力は極度に不足するようになると思っています。平均年齢がこれだけ伸びていますので、60歳以上も積極的に労働力として取り込んでいく必要がでてきそうです。
高齢化による停滞経済などと言っているヒマはないのでは?
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