ポイント
EU首脳会議での緊急融資の決定や、緊急支援基金「欧州安定化メカニズム」の創設への動きが評価されて、世界の株式市場が上昇しています。しかしながら、これらは基本的に財政基盤の強化により資金繰り不安を解消したに過ぎないのではと考えています。欧州問題がすべて解決したような楽観は避けたほうがよさそうです。明日は高めの寄り付きになるでしょうが、ザラバでは今日の反動もありうると見ています。
今日のマーケット
34円高で寄り付いた日経平均株価は、急速に上げ幅を拡げ、後場のスタート後まもなく175円高をつけました。その後は幾分伸び悩みを見せたのですが166.11円、1.60%高で大引けとなりました。
欧州の財政問題に大きな展開が見られたことが株価上昇を牽引しました。大きくユーロ高、円安方向に振れた為替の動きが、EU首脳会議の成果や、「欧州安定化メカニズム」の創設が株式市場に及ぼしたインパクトの大きさを示唆しているようです。
アジア市場全体が上昇しています。インドネシア(+4.0%)、インド(+3%)、香港(+2.5%)、シンガポール(+2.4%)、韓国(+1.8%)など軒並みに日本の上昇率を上回っています。ただ、上海は僅か0.4%の上昇にとどまっているのが気懸りな動きでした。
欧州市場はアジア市場を大きく上回る活況ぶりです。イタリア(+9.4%)、オーストリア(+8.2%)をはじめとして急騰しており、もっとも上げ幅が小さいと見られるスイスでさえ3.7%の上昇です。ちなみにギリシャは9.5%上げています。
このような動きを背景に、GLOBEXではダウ(+412ドル)、ナスダック(+84ドル)ともに、お祭り騒ぎのような上げを見せています。ただし、冷静に見れば、先週木曜日にダウは347ドル下げており、金曜日にはさらに140ドル下落しているわけですから、その反動分が大きいと考えています。
今日は重要な経済指標や決算の発表は特に予定されていません。
明日のマーケットの見通し
CMEの日経平均先物価格(円ベース)は10,750円となっていますから、明日は高めの寄り付きが期待できそうです。
ただし、今日のグローバルな株価上昇の源である欧州の展開は、基本的に財政基盤の強化による資金繰り不安の解消であって、ギリシャの財政問題が消えてなくなってしまったわけではありません。楽観的なムードで満ちているようですが、要注意と考えています。少なくとも、明日以降も持続的に株価を上昇させる牽引力を持つとは考えていません。
60分足のユーロ円では確かにユーロの強さが鮮明ですが、5分足で直近の動きを見る限り、その強さが十分なものであるという感じはしません。
というわけで、明日は高めに寄り付いた後のザラバの動きには警戒して臨みたいと考えています。
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