5月4日に米国商務省が発表した3月の「出荷・在庫・受注統計」を用いて作成した製造業在庫循環モメンタムは、米国の景気の強さを確認するものでした。
欧州問題で大きく下落している米国株式市場なのですが、2008年秋のリーマン・ショックのころには急落を続けていた在庫循環モメンタムが、現在は上昇を続けてきた上に、さらに上昇するという局面です。まさに正反対とも言える状況であることが興味深いところです。
在庫循環モメンタムは出荷金額の前年同月比増減率から在庫の前年同月比増減率を差し引いて算出します。
指標上昇の主因は出荷金額の伸びの加速です。
在庫金額も増加基調が鮮明になってきました。生産(供給)が出荷(需要)に追い付いてきました。これは、在庫循環モメンタムの下げ要因になりますが、出荷金額の伸びという上昇要因が陵駕しました。
今後の動向は出荷金額の動きをよく見ると見当がつきます。前年の5月を底に出荷金額が回復に転じましたから、それとの比較となる今年5月がピークとなる可能性が高そうです。
とすれば、全製造業在庫循環モメンタムは6月以降下落基調に転じると見られます。在庫の伸びが指標の下落ペースを速める可能性が高いので注意が必要です。株式投資の観点からは、6月の数字が公表される8月はじめが要注意ということです。
参考までに、全製造業のなかの自動車セクターの在庫循環モメンタムは次のようになっています。好調さが鮮明です。
コンピュータ及ぶ周辺機器の在庫循環モメンタムも堅調ではあるのですが、自動車ほどではありません。
より細かく、半導体の出荷金額の増減率を見ると、勢いに頭打ちの兆しが見えますので、ハイテク関連は要注意と見ています。
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