昨日、経済産業省が発表した3月の鉱工業生産動向(速報)を、出荷在庫バランスを通して見てみたいと思います。
出荷在庫バランスとは、出荷数量の増減率から在庫数量の増減率を差し引いて算出する景気指標です。
堅調な印象があるのですが、むしろ頭打ちを示唆するような、気になる指標が増え始めています。この指標は株価との連動性が高いので、今後の動向を注意深く追っていく必要がありそうです。
まず、鉱工業全体の出荷在庫バランスから。2009年2月を底に、急速上昇を続けてきたのですが、ここで初めて反落となりました。基調の転換点である可能性があります。
次に、耐久消費財。主力品目は乗用車です。3月は僅かに上昇したのですが、頭打ちの傾向が鮮明で、今後の動向は予断を許しません。
食品や衣料品を中心とする非耐久消費財の出荷在庫バランスは停滞した動きが続いています。小売の事業環境の厳しさを示すと同時に、出遅れ感の目立つ優れた銘柄を発掘するチャンンスも示唆しているようです。
資本財は、工作機械、産業機械など機械部門が中心です。耐久消費財と異なり、ピークアウトを示唆する動きは見えません。ただし、これは立ち上げ理が多少遅れたことが理由であって、近々反落に転ずる可能性が高いと見ています。
建設財は、鉄鋼電炉製品。セメント、ガラスなどが中心になります。3月は反落となりましたが、立ち上がりが資本財より、さらに一段と遅れていることから、今後の上昇余地が大きいを考えています。
最後に生産財。半導体や電子部品の比重が高いのですが、化学製品。鉄鋼高炉製品なども含まれます。耐久消費財に次いで立ち上がりが早く、鉱工業全体の上昇に大きく貢献してきました。しかし、今回は、2009年2月の底を打って以来初めて反落に転じました。
以上の5つのサブカテゴリーが、鉱工業全体を構成しています。月を追って、ピークアウトを示し始めるサブカテゴリーが増えています。ということは、鉱工業全体の指標は、今後上昇ではなく反落と見なけれなならないようです。
問題は、この指標と株式市場の連動性がかなり高いこと。2009年春の底打ちは、コンセンサスとは大きく異なるシグナルでした。今回の反落のシグナルも同様に、コンセンサスとは違和感があるようです。
今後の出荷在庫バランスの動きから目が離せないようです。
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