月とスッポンさんのブログ

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業種別分析のポイント⑦基本のき(4)

5.決算分析の5つのポイント

(1)成長性は量と質の観点から

・「量」・・・売上高から
・「質」・・・営業利益と当期純利益から
 営業利益・・・本業での利益獲得能力が上昇しているか
 当期純利益・・・株主持分財産がどの程度増えたか

・成長性の企業間比較は前期比増減率(=伸び率)を用いる。

売上高伸び率 =(当期売上高-前期売上高)÷ 前期売上高

(2)外国人投資家が注目する「収益性」

・いかに効率的に収益をあげているか
・粗利益率
・売上高営業利益率
・自己資本利益率(ROE)=当期純利益 ÷ 自己資本
・株主にとっての投資効率
  *自己資本の少なさがROEを高くするケースや逆に自己資本が高すぎてROEを低くするケースに注意
・総資産経常利益率(ROA)・・・経常利益 ÷ 総資産
・すべての資産を使用してどれだけ利益を上げたか。会社全体の投資効率。

(3)時に成長性と反比例する安全性

・安全性とは、企業の負債返済能力を示す。倒産リスクの低い会社。

・安全性は成長性や収益性と反比例の関係になることがあるため、最初にしっかりと成長性を分析し、それだけではわからない部分を収益性と安全性の両面から確認する。

①流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債
・会社の短期的な支払い能力を判定する
②当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債
・流動比率よりもさらに厳しく会社の支払い能力を判定する
③固定比率 =(固定資産 + 繰延資産)÷ 自己資本
・固定資産のうちどのくらいが返済の必要がない自己資本でまかなわれているのか。100%以下が望ましく、小さいほど安全性が高い。
④固定長期適合率 =(固定資産+繰延資産)÷(自己資本+固定負債) 
・固定比率の補助的な指標
⑤自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本(負債と純資産の合計)
・会社が調達した資金のうち、会社自身で調達した資金がどのくらいあるか

(4)営業CFが確実にプラスになっているか

・「成長性」「収益性」「安全性」が企業分析の中心作業であるが、「CFの状況」と「効率性」はそれらを別の角度から検証するための手段である。

・営業CFの推移を見ることで、PL項目で分析した成長性がきちんとキャッシュを伴ったものなのか、また、BS項目で分析した安全性についてCFの面から問題点はないかなどの検証ができる。

・3つのCF(営業、投資、財務)のバランスも重要なポイント。
フリーCF=営業CF-投資CF・・・フリーCFが大きいほど資金的に余裕があるので望ましいといえる。

*営業CFだけでは必要な設備投資を賄いきれないため、フリーCFがマイナスになることもあるが、その企業が成長過程にあり、フリーCFのマイナスを財務CFのプラスで穴埋めできていれば問題はない。
逆に成長段階でもないのにフリーCFがマイナスの場合は問題がある。
キャッシュ残高が年々減少している企業は要注意。

(5)異常値発見のツールとなる「効率性」
 
 ・企業の血液とも言うべき資金をどのくらい効率的に使用しているか。
  =より少ない資金でいかに多くの利益をあげられるか。

 ・同じ資金量であっても仕入れ、販売、回収の期間を短縮して資金を早く回転させることができれば年間の業績に大きな差がつく。
 
 ・回転率 = 1年間の売上を上げるのに資金を何回転させたかを示す。回転数が多いほど効率がよい。

①総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産
・全資産が効率よく使用されているかどうかを見るための指標。高いほど資産が効率的に使用されていることを意味し、低いほど遊休資産などが多い可能性がある。
・業種によって差があるので同業他社の数値と比較する。

②売掛債権回転率 = 売上高 ÷ 売掛債権
・売掛債権が効率よく回収されているか
・総資産回転率の補助的な指標である
・高いほど短期間で債権が回収されている。
・この指標が急速に悪化している場合は、滞留債権が増加している可能性がある。

③棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 棚卸資産
・棚卸資産が効率よく適正期間で販売されているか
・低いほど在庫が多いことをあらわす。

(5に続く)

1~3はこちら
http://minkabu.jp/blog/show/222621

今までまとめたセクター別まとめ
建設・不動産・小売・外食・電鉄・IT・自動車・機械セクターの決算書の特徴
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