「生徒諸君に寄せる」

 岩手で教師をしていたこともある宮沢賢治は「生徒諸君に寄せる」
という一編の詩を残しています本日も各地の学校で卒業式が行われ
ており、おそらくこの詩を贈られた生徒もいるのではないでしょうか

「生徒諸君に寄せる」 宮沢賢治

  生徒諸君  諸君はこの颯爽たる 諸君の未来圏から吹いている 

  透明な清潔な風を感じないのか それは一つの送られた光線であり 

  決せられた南の風である 諸君はこの時代に強ひられ率ゐられて

  奴隷のやうに忍従することを欲するか 

  今日の歴史や地史の資料からのみ論ずるならば 

  われらの祖先乃至はわれらに至るまで すべての信仰や特性は

  ただ誤解から生じたとさへ見え しかも科学はいまだに暗く

  われらに自殺と自棄のみをしか保証せぬ むしろ諸君よ

  更にあらたな正しい時代をつくれ・・・

卒業のシーズンを迎え学び舎を巣立ってゆく子ども達もきっとそんな
思いでいるのではないでしょうか

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