楽しみ・・・


「たのしみは 空暖かに うち晴れし
         春秋(はるあき)の日に 出でありく時」

 橘曙覧(たちばなのあけみ)の句を思い出す、そんな麗らか
な日和となりました。

 国学者の橘曙覧は、正岡子規に「源実朝以来、歌人の名に値
するものは橘曙覧ただ一人」とまで言わしめた歌人でもありま
した。その橘の歌集に『独楽吟(どくらくぎん)』というのが
あり、天皇・皇后両陛下の訪米歓迎式典の際に当時のクリント
ン米大統領が引用したことでも知られています。

 たのしみは・・で始まるこの連作句は、日常の中にはほんの
些細な事ながら喜びが溢れていることを思い出させてくれます。

 たのしみは 草のいほりの 莚(むしろ)敷き
              ひとりこころを 静めをる時

 
 たのしみは 妻子(めこ)むつまじく うちつどい
               頭ならべて 物をくふ時

 
 たのしみは 心にうかぶ はかなごと
              思いつづけて 煙草すふ時


 たのしみは 朝おきいでて 昨日まで
               無かりし花の 咲ける見る時


 たのしみは 三人(みたり)の児ども すくすくと
               大きくなれる 姿みる時


 たのしみは 庭にうゑたる 春秋(はるあき)の
              花のさかりに あへる時時

 皆様の日常の中の“楽しみ”はどれくらいありますでしょう
か。たくさん並べてみれば、楽しいことや喜びで溢れてきます。

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