[東京 3日 ロイター] シャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート)が3日発表した2009年10―12月期の連結営業利益は210億円の黒字(前年同期は158億円の赤字)だった。2四半期連続の黒字だが、7―9月期は276億円の黒字(同143億円の黒字)で、利益水準は前四半期より落ち込んだ。10月から量産開始の大阪府堺工場の立ち上げ費用がかさんだほか、携帯電話やゲーム向けの中小型液晶パネルの価格が低迷し、液晶パネル事業の損益が低迷した。1―3月期には同工場の本格稼働による大型液晶パネル分野の拡大で巻き返しを図る。
4―12月期の営業利益は前年比35.3%減の225億円だった。通期営業損益予想は500億円(前年実績は554億円の赤字)の黒字で据え置いた。通期予想の500億円は、トムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト15人の予測平均値522億円の黒字を下回っている。
<液晶パネルの採算悪化>
10―12月期の液晶パネル事業の営業利益は10億円で、7―9月の155億円から大幅に減速した。堺工場で減価償却など初期費用が先行したほか、ゲーム向けや携帯電話向けの中小型液晶の価格が下落したのが響いた。
4―12月累計の液晶パネル事業の営業利益は17億円だが、通期計画の180億円(同40億円)を据え置いた。1―3月期に160億円程度の営業利益の確保が必要になるが、12月から堺工場が月産3万6000枚のフル生産に入ったことでテレビ用の大型液晶パネルの収益が改善するとみている。記者会見した大西徹夫取締役は1―3月期は「中小型液晶は苦戦する」としたが、「テレビ用液晶パネルの1―3月期の需給は順調とみている」として、計画達成を目指す考えを示した。
<液晶テレビは2四半期連続の黒字化>
液晶テレビ事業は10―12月期に黒字となり2四半期連続で黒字だった。1―3月期も黒字を見込むが、4―6月期の赤字幅が大きかったため、通期では若干の赤字が残ると見込む。
液晶テレビの販売台数は10―12月期に304万台で前年の289万台を上回ったが、4―12月期の累計は744万台で前年の767万台を下回った。国内市場はエコポイント効果で伸びているが、海外市場は欧米が景気低迷で価格条件が厳しく「(収益を重視したため)4―12月まで抑え気味で推移した」(大西取締役)という。通期の販売台数は前年並みの1000万台を据え置いた。売上高は価格低迷で前年比6.8%減の6800億円を計画している。
<携帯電話の通期計画を下方修正>
携帯電話の10―12月期の販売台数は290万台(同250万台)で、4―12月期の累計は802万台(同802万台)だった。通期計画は従来1120万台だったが12月までの累計販売が前年並みにとどまり、1070万台(同992万台)に修正した。国内販売は厳しい状況だが、中国での携帯販売を強化していく方針。売上高は前年比7.5%増の4700億円を計画。
太陽電池事業の営業損益は10―12月期に14億円の黒字(同35億円の赤字)、4―12月期は8億円の黒字(同13億円の赤字)で累計黒字に転じた。太陽光パネルの補助金効果で国内販売が好調という。今期計画は56億円の黒字(前期は161億円の赤字)を目指す。通期の売上高は前年比27.3%増の2000億円を計画。生産量ベースの通期計画は、前年比82.9%増の770メガワットを見込む。
大西取締役は、堺工場での薄膜太陽電池の生産開始について「(予定通りに)今年3月の稼働開始に向けて準備している」と述べた。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二)