12月4日に米国商務省が発表した10月の「製造業出荷。在庫、受注統計」をベースにした在庫循環モメンタムによって景気の現状を見てみたいと思います。順調な回復が続いていますが、気になる点も見えてきました。
まず製造業の出荷金額の動きです。まだ前年同月比は依然としてマイナスなのですが、月を追って回復基調が鮮明です。
次に在庫金額。変化が見えます。在庫圧縮による需給改善が続いてきたのですが、いよいよ在庫調整も終了の兆しです。
出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いて算出する「在庫循環モメンタム」は次のようになっています。なお、在庫循環モメンタムについての多少詳細な解説は「在庫循環概念図」をご参照ください。
それでは、在庫循環モメンタムとダウ平均株価の関係を見てみたいと思います。連動性が維持されています。ただ、株価が在庫循環モメンタムに追いつけず、乖離が若干拡大しているように見えます。
「気になる点」は、株価と在庫循環モメンタムとの乖離の拡大です。その解釈はいくつか可能です。
株価の上昇ポテンシャルの高さを示すという考え方。株価が景気の回復に懐疑的で、十分に現状と今後の動向を織り込んでいないと見るわけです。この場合は、市場心理の改善とともに、株価の上昇が進むと考えます。
株価は、在庫循環モメンタムの上昇を評価していないという考え方。出荷の回復は、緊急の金融財政政策で底上げされているため、実体としての在庫循環モメンタムの上昇はもっとマイルドであるはず。したがって、株価はその実体を反映していると見ます。
どうも、2の見方にも一理あるような気がします。重要なポイントは、今後も在庫循環モメンタムが上昇を続けることができるかどうかということだと思います。
そこで、在庫循環モメンタムの図から読み取れるとおり、今後も上昇することができるかどうかは、在庫の上昇ペースを出荷が上回れるかどうかにかかっているようです。今後の展開から目を離せません。
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