政府が日本経済を「デフレ」にあると認定する方向で調整しているのだそうです。
7-9月GDPで、内需デフレーターが-2.6%と51年ぶりの低水準であったことから、危機感が強まったのだろうと思います。
企業による大型増資が続いていることによる需給懸念に加えて、この「デフレ」問題もマーケットの頭を抑える原因の一つであったかもしれません。
ところで、この「デフレ」には気になる点があります。
前年の7-9月はインフレ懸念が真っ盛りでした。特に8月は原油価格の驚異的な高騰を背景に原料調達価格は前年同月比で17.9%という危機的ともいえる上昇率を示していました。それに引っ張られるように製造業の出荷価格も8.7%上がっています。
そのような危機的なインフレにあった時期からみれば、たしかに今年の8月の物価は大幅に下がっているのですが、果たしてそれを「デフレ」というべきなのか、疑問が残ります。
次に、日銀の製造業部門別投入・産出物価指数を使って、投入価格(原材料調達価格)と産出価格(出荷価格)の前年同月比の推移をみると、実は物価の下落の最悪の局面は終わり、下落率が縮小する兆しが鮮明になっています。
したがって、簡単に「デフレ」をキャッチフレーズにすることが適切かどうか、いささか疑問です。
デフレは非常に長期的な物価下落の継続を意味します。去年は「インフレ」で今年は「デフレ」というようなものではないだろうと考えています。
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