今朝、経済産業省が発表した9月の鉱工業生産動向は、期待した以上に良い内容だったと思います。株式市場の反応はいま一つでしたが、この統計を用いて作成した在庫循環モメンタムの上昇が続く局面では、株式市場もまた上昇基調を維持する傾向があります。日経平均株価が3日続落で、市場センチメントも弱くなりがちですが、弱気は禁物であるように思われます。
まず、原指数の前年同月比は次のようになっています。
(前年同月比:%) 8月 9月 差(ポイント) 生産 -19.0 -18.9 +0.1 出荷 -19.0 -17.3 +1.7 在庫 -10.3 -12.2 -1.9
出荷が1.7ポイントも改善したのに対して、生産は僅か0.1ポイント増えただけですから、需給バランスが相対的にタイトになり、在庫が1.9ポイントも圧縮されたという構図です。つまり、生産した以上に売れた(出荷)ため、在庫が減ったわけです。
この需給バランスの変化は、在庫循環モメンタムという指標を作ると、一段と鮮明になります。出荷金額の増減率から在庫金額の増減率を差し引いたものが、在庫循環モメンタムです。
細い実線が出荷金額の増減率の推移です。着実に増加傾向が続いていることがわかります。
細い点線が在庫金額の増減率の動きです。在庫圧縮の努力と原材料価格低下の相乗効果で、大きく減少していることを示しています。
太い赤線が鉱工業の在庫循環モメンタムです。上昇が続いています。出荷の基調の改善と、在庫の圧縮が要因です。
この在庫循環モメンタムと株価(日経平均株価)の連動性は高く、両社の乖離が長期間続く可能性は限定的です。現在はその乖離が進んでいるように見えます。
重要な点は、この乖離が長続きしないということ。そして、調整は在庫循環モメンタムの下落ではなく、日経平均株価の上昇によって実現される可能性が高いということです。
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