ユリウスさんのブログ
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財政規律を守れ! -民主党に望む
わが国の財政状態について、21日の NewYork Times に "Rising Debt a Threat to Japanese Economy" というタイトルの記事がありました。
サブタイトルはこんなでした。
TOKYO — How much debt can an industrialized country carry before the nation’s economy and its currency bow, then break?
「鳩山政権、危機管理能力なし」とか「日本は“失われた20年”に突入」とか「日本は債務不履行に陥るか、通貨価値崩壊」など、結構刺激的な記事ですが、多くの納得させるものを含んでいるように思いました。外国の大方の見方がこのようになってくると、わが国に外資が入ってこなくなる心配が出てきます。
民主党政権にとって来年度の予算が最初の高いハードル(財源不足)になるので、翔年はちょっと先回りして、財政規律をシッカリ守らないと大変な未来が待っていることを指摘しておきたいと思います。わが国の財政はほとんど破綻といっても言いすぎでない状態なのですから……。
財政の破綻とは、家計でいえば借金地獄の「自己破産」、企業で言えば借金の返済見込みがない「倒産」と同じようなもので、ハッキリ言えば「国家の破産」でしょう。この危機感が政府にも、政治家にも、マスコミにも、国民にも乏しいことが一番の問題点です。事実認識にもとづく危機意識なくして抜本的な改革など、できっこないですから。
わが国は2002年に国際通貨基金(IMF)から「数年以内の国家破産の可能性について」勧告(ネバダレポート)を受けています。どれぐらい深刻かというと、世界117カ国中114位の超借金国家、借金大国であるのです。この勧告に関して新聞報道はほとんど騒ぎませんでした。
改めて数字で見るとびっくりしますが、主用先進国と比べたら唖然、呆然。ここまで悪化しているのに、放置している政治家、それを咎めない識者やマスコミには批判精神はあるのでしょうか?
しばしばマスコミからアメリカは借金大国と揶揄されていますが、パーセント表示だとわが国の三分の一です。下を見てください。
2008年度債務残高の比較(出典:OECD/エコノミック・アウトルック(83号)
日本 170.9(%)
イタリア 117.1
フランス 71.0
米国 65.8
ドイツ 64.2
英国 49.8
「戦略経済研究所21」は、日本国の負債は、2005年度末の時点で
(1) 国及び地方の長期債務残高 775兆円
(2) 政府借入金/政府短期証券 142兆円
(3) 財政融資資金特別会計国債他 143兆円
公的債務総額 1,060兆円
この他に
(4) 政府保証債務 58兆円 を加えると、
1,118兆円
になると発表しています。
これに対して、収入の方は税収です。これは45兆円~40兆円程度ですので、日本政府は、年間収入の20倍以上の負債があることになります。これはいくらなんでも問題だと思います。
2001年12月にアルゼンチンは財政破綻しました。その時のGDPに対する公的債務残高は
約60%でした。
アルゼンチンが60%で破綻したのにたいして、わが国は170%でも何とかやっているのは、さすが日本と思いたいですね。何がどう違うのか? それは単純に言えばわが国が対外債務がないからです。日本の国債を外国政府が買わないだけのこと。代わりに国債をせっせと買わされているのは邦銀です。銀行の預金者は個人ですから、日本人の個人資産が国債に投資していることになっています。危ないです。
最期に財政破綻をしたアルゼンチン(2001年)やロシア(1998年)は、その時どんな状態になったかを記して、このエントリーを終わります。
(1)預金封鎖(預金が引き出せない)
(2)ハイパーインフレ(ロシアの物価上昇は4年間で1800倍)
(3)大増税
これは最悪のシナリオです。こんなことにならないように民主党には国民に甘い顔を見せないで、やるべき改革を断固遂行して貰いたいと思う。そして長期的視野に立って財政規律をシッカリ守る方針を打ち立てて欲しい。
※このエントリーは元信光人氏の意見とNYTimesの記事を参考にしました。
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