資格ブログ村 法律系資格 現在 31位 士業(弁護士、会計士等) 現在 11位第57回サンセバスチャン国際映画祭で26日、中国映画南京!南京!(陸川監督)が、最高賞の「金の貝殻賞」を受賞した。サイコも南京大虐殺事件についてはかなり懐疑的なのであるが、ちょっと前に名古屋市長が15日開かれた議会9月定例会の一般質問で、野党議員から南京虐殺について質問を受けた答弁を問題視させられてしまっていたりする。これを材料にするのは何か河村市長を誘導尋問したような姑息さが見え見えなのではあるが、それに共産党議員が助長するのは党是から来ているには違いがないんだろうけど、その正当性がためだけに行政を停滞させることが議会の役割ではない気もするのだが。まぁ、それはそれとして、〈民主〉と〈愛国〉を読み終えたので、この懐疑的な会議で問題視されているところの誤謬がどこにあるかを少し騙ってみたい。この本のあとがきに、「なぜあなたはそうした問題に関心をもったのか」という質問を小熊英二は、これだけ膨大な本を書けば当然だと思うけれどよく聞かれるそうなのだが、返答はいつも「自分でもよくわかりません」と応えているそうだ。要するに仮にこの関心系を説明するには、同じく膨大な経緯を説明せざるを得ないということらしい。その一部分として、父である小熊謙二が、元日本兵の朝鮮系中国人と日本国政府を相手取ってシベリア抑留の戦後補償を求める訴訟の共同原告となっている、ことを挙げている。あくまで小熊は、自己の研究分野と偶然重なったとしてはいるが、1996年に岩波書店を退職して本格的な研究者となっていくところを思うと、父親の裁判もひとつの動機となっているはずだ。そしてこの裁判あるいは父の経験というものも社会の多様性のひとつとしての例示であるとしている。第一の戦後において、あるいは戦中からの数年を語るときに、戦争の加害/被害者としての立場や場所、時期など一様には戦争体験を同視できないわけで、全体主義という体制の中で実際に個々の体験は様々にあり、一くくりにはできないにも関わらず、例えば吉本隆明などが語ることが、そのまま戦争体験の全体と思われてしまう節があったということだ。さて、河村市長の父親は南京で終戦を迎えたのだそうであるが、それも社会の多様性の一例に留めるべきなのではある。「特別なことは言ってない」かもしれないが、特別な地位(国会議員として、普通地方公共団体の長として)からの発言なのだから。まさに全共闘時代の吉本隆明と同じ構図といえるわけだ。だから、この時期に南京虐殺を扱った映画作品が最高賞を取るというのも怪訝な感じなのだが、映画祭の主催も言うとおりで「戦争の悲惨」が取りざたされなければならないだけで、数の問題や量の問題ではない。ましてや映画に関しては中国人監督なのだから、その背景の上に監督としての恣意が刻まれるのは当然なので、単に一作品としての評価に留めるべきと言えるだろう。今回の映画祭の主催のインタビューからはイデオロギー的なものはまったく感じられないので、公平な選択の上でなされていると思う。日本でも来年公開ということなので、右翼に邪魔されなければ見れるかもしれない。まぁ、敢えて観たいとも思ってはいないけどね。まぁ、それはそれとして、右でも左でも歴史認識という建前が政治的イデオロギーべったりの名誉回復みたいなのに摩り替えられているように見えるのは、日本としては中国のど派手なパフォーマンスによって国辱されることを少しでも食い止めようという反動なんだろうね。まぁ、しかし中国も姑息といえば姑息だからね、取り敢えず民主党の愛国の士にもう少し頑張ってもらおう。グゥーーー