木下 晃伸さんのブログ

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単なる強気姿勢転換だけでは株価は上がらない

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● 【本日のニュース】/アメックス、バークレイズが投資判断引き上げ
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バークレイズ・キャピタルのアナリストは24日付リポートで、クレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(アメックス、NYSE、コード@AXP/U)の投資判断を3段階中で真ん中の「イコールウエート」から最上位の「オーバーウエート」に引き上げた。投資判断引き上げの理由として、与信コストの減少や収益の回復などで、アメックス株は今後相当な上昇が見込めることを挙げた。


(2009/08/25付日経速報ニュースより一部抜粋)



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【ニュースの深層】単なる強気姿勢転換だけでは株価は上がらない
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。


経済アナリスト、木下晃伸です。



■バークレイズ・キャピタルのアナリストが昨日、米クレジットカード大手アメックスの投資判断を「オーバーウェイト(強気)」に転換したようです。


しかし、株価は、と言えばパッとしません。反応は限られ、昨日のアメックスの株価は前日比マイナスとなっています。


※American Express Company (Public, NYSE:AXP)

http://www.google.com/finance?q=axp


それもそのはず。もう金融業界に対して強気姿勢に転換しても、株価はすでに織り込んでいるからです。



■私が当メールマガジンで3月に米金融機関の復活可能性を理由に投資姿勢を大きく強気に転換してからすでに5ヶ月が経過しています。


その間、多くの投資家が「悲観的」な意見を発表してきました。多くの投資家は、金融機関が復活するとは考えていなかったのです。


しかし、現実としてはその後日経平均株価は、4000円近く上昇、いつまでも悲観論を展開していた投資家にとっては歴史的な上昇を享受することが出来なかったことになります。



■ただし、重要な点は「これから」株価はどうなるのか、ということ。


バークレイズのアナリストに話を戻すと、アメックスの株価はこれから上がる、と考えているということになります。ただし水準を見ると目標株価は38ドル。


これはすでに米大手ゴールドマン・サックスなどがタッチしているリーマンショック直前水準になります。



■これでは投資家にとっては参考になりません。なぜなら、アメックスが仮にリーマンショック直前水準にタッチするとしたら、少なくとも以下の問いに答えられなければならないからです。


●ゴールドマン・サックスの株価はそれ以上に上昇しているのか。



■いまはひとつの企業だけを見て投資判断をどうこうするというタイミングではありません。またそれは金融業界だけを見ていても同じこと。


金融に囚われず、資源や製造業にも目を配る。株式だけではなく債券にも目を配る。もちろん、実際に売買行動を起こす人間心理にも思いを馳せる。


どれだけ多面的に物事を分析し、仮説を構築したかでこれからのパフォーマンスは大きく変わると考えます。


なお、私はゴールドマンの株価は、リーマンショック水準を超えて上昇すると考えています。具体的には、現在の160ドル水準から200ドル水準にまで上昇すると考えています。


※Goldman Sachs Group, Inc. (Public, NYSE:GS)

http://www.google.com/finance?q=gs


(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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