「馬鹿」の由来

「厚顔のススメ」
宋 文洲 氏のメルマガから

なぜ「バカ」という言葉に馬と鹿が当てられたでしょうか。馬と鹿よりもずっと知能指数の低い動物が多いのに、なぜこの二つの動物が選ばれたのでしょうか。

実はこれには秦の時代の有名な史実があります。クーデターを起こした野心家は現職の大臣達の忠誠心を試すため、皆の前に鹿を連れて来させました。「これは馬だ!」と彼が大声で言うと「はい。馬でございます」と言った大臣を残し、「いいえ、鹿ですぞ」と答えた大臣を全員殺したのです。

保身のために真実に反することを言う人が「馬鹿」なのです。西洋の似た話として「裸の王様」が広く知られていますが、馬鹿に見られたくないために馬鹿になってしまう人間の弱みは、古今東西を問わずに存在するのです。

今の日本社会はまさに「空気」の社会です。常に「正論」になりそうな空気を読み、「安全」な立場に立ち、「正論」に加担する人が段々多くなっています。
実はこれこそ社会が「馬鹿」になっていく過程なのです。

宋 文洲は処方箋を出す立場にありませんが、「馬鹿」を治す薬として「厚顔」をお勧めしたいと思います。皮肉なことに、人の嘲笑や批判を気にしないこの「厚顔」こそ昔も今も人々が馬鹿になることを防いできたのです。

先週の「宋メール」では新書の概要を書きましたが、一部の読者の方からの
「宣伝か」というコメントを読んで今週のテーマを変えようかと悩みました。
なぜかというと、今回も新書の抜粋だからです。(『「厚顔」のススメ』、小学館より)。

よく考えると私も「厚顔」が足りないと思って勇気を出して書きました。弁明に聞こえても仕方がありませんが、私は「売れるかどうか」にはそれほど関心がありません。伝えたいことを本にしたのですから、短くして宋メールの読者に伝えたいのは自然だと思います。

正直にいって今の日本は80年代に留学して来た時よりずっと住みにくくなりました。空気がきれいになり店もお洒落になったのになぜ住みにくいかというと、それは「社会の寛容さ」が失われつつあるからだと思います。

私の個人的勘違いかもしれませんが、すぐキレる人、些細なことに難癖を付けてくるクレーマー、学校の先生に当たり散らすモンスター・ペアレント、官僚と政治家が日本を駄目にしていると思い込む「正義の市民」・・・。人に厳しい人が増えると社会は住みにくくなる、これはもう昔から変わらないことです。

寛容の本質は人を許すことですが、「人」の中に自分も含めなくてはなりません。「空気」と異なる他人を許すと同時に、「空気」と異なる自分も許さないといけません。「空気」と異なる自分を許すとは勇気を持ち、「厚顔」になる
ことです。

・・・このようなお話を読むと「馬鹿」にはなりたくないな。
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