関東地方はあいにくの空模様で、少し涼しいく
らいでしたが、本来は最も暑気盛んな時期です。
ところで、兼好法師はその著書「徒然草」の中
で「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、
いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪
へ難き事なり」と言っていますが、機密性の高い
現代の住居は暑さ対策が必要になり余分にエネル
ギーを消費しています。
昔の日本家屋では、日差しの強まりとともに襖
や障子を開け放ち、室内を広々とさせ、風通しを
よくし、すだれをかけて涼感を得ていました。す
だれは強い日差しを和らげるとともに昼間は目隠
しの効果もあり、風をよく通し、見た目にも涼し
げです。
古い家屋が残る街並みでは、夜になりますと灯
りに照らされた屋内の様子がすだれから見え隠れ
するため、屏風などを飾り、外から見えることを
意識した演出が施されます。これも日本的な夏の
情緒です。
もともと占いや魔除けの道具だった風鈴も、一
服の涼を運ぶ情緒豊かな夏のアイテムです。
チリン、チリーンとなる風鈴の音色は耳にも涼
やかですが、密集した住宅地やマンションなどで
は風鈴の音は生活騒音に分類されます。強い風で
鳴り響いたり、安眠の妨げになるなど近所迷惑に
ならぬよう気配りも必要です。