「やぶ入り」


 本日7月16日は「地獄の釜の蓋(ふた)も
開く」といわれた日、 「やぶ入り」
です。今は、
「やぶ入り」
という習慣がそのまま残っている
ところはないようですが、お正月(1月)とお
盆(7月)の16日ごろを指し、いわば昔の夏
休みと冬休みでしょうか。

 新嫁さんや奉公人は日頃の苦労の慰安のため、
一泊の休みを貰えるので、この日が来るのを待
ち焦がれていました。親元では里帰りした子を
あたたかく迎え、子は「親腹七日」(おやばら
なのか)の諺の通り、食べて寝て、縦の物を横
にもせず一泊します。また、帰りには沢山の土
産物を持たせて帰らせたそうです。わが娘が婚
家に帰って恥をかかないようにとの配慮からで
す。

 奉公人は、丁稚(でっち)、手代(てだい)、
番頭とたたき上げて何十年も働き、運が良けれ
ばのれん分けしてもらい、店が持てました。早
ければ10歳に満たない幼子が奉公に出て、貧
しさ故、つらい労働に耐えていました。それは
戦後まで引き継がれ、戦後の高度成長で昭和3
0年代から40年代にかけて、「金の卵」とも
てはやされた中卒者の集団就職が盛んだったこ
とは記憶に新しいところです。


 現代の若者たちが恵まれ、甘やかされている
と批判するつもりは毛頭ありませんが、今では
死語になりつつあるこの「やぶ入り」。奉公、
勤労の歴史があったことを風化させないよ何ら
かの機会に今の子供や若者に伝えたいものです。

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