チャラチャラした中途半端な気持ちでザラ場に入ると殺られる。
案の定、両建てしておいたポジで往復ビンタ。
「…チッ、馬鹿野郎!舐めやがって!」
思わず呪詛を呟く。
含み損のでているポジをほったらかしにしたまま、朝っぱらからサーフィン。
完全に現実逃避である。
折れそうな心を奮い立たせる。
気持ちを落ち着かせるために、大きく深呼吸。
いくら相場で損をしようが、回りの景色は変わらない。
普段と変わらない日常。
太陽の光が眩しい。
ロケーション、水の色、光のすべてがパーフェクト。
波の荒々しさと対照的に、静かでゆっくりとした時間が流れている。
海の彼方を見つめる。
そいつはファーストブレイクで奥から渦巻いてくる。
ボトムターンしてからトップに上がり、降りてきてから早くなりでっかいチューブになる。
日本のそれとは比べ物にならない。
圧巻である。
地元のサーファー達はフロントでの縦の鋭いリップを何発も決めていく。
テイクオフからそのままストールし、完璧なタイミングでバレルへとブルイン。
まるでサーフィン映画のワンシーンのようだ。
聞えてくるのはブレイクする波の音。
そして玉砂利が巻き上げられる音。
勇気を振り絞って、ワンサイズ小さめの波にチャレンジ。
やばい。。。
全身に鳥肌がたった。
オレ、大地とFUCKしているよ。
そのまま大きな波に巻き込まれ、水面下で二転三転する。
一瞬、死を覚悟した。
魂が躍動し、生きていることを実感する瞬間。
フッ…
明日は躊躇なく損切りができそうだ。
心の片隅でそう思った。。。