文具業界大手企業の商法を批判 どんな業界でも、寡占から競合状態になると、お互いに強烈な足の引っ張り合いをする。そして、負け気配濃厚な企業内部では、経営舵取り批判が台頭し、過去の膿まで引合いに出して政権交代を迫る。そんな業界の内情を暴露した怪文書が話題をよんでいる。業種は文房具、事務用品。ぐんぐん業績を伸ばす新興企業に、老舗大手があの手この手であこぎな反撃を加えているというのだが。まずは、怪文書の内容を。
〈Aという会社がある。文具・事務用品販売の業界では大手の立派な会社である。しかしながら、最初から大手で立派な会社であったわけではない。元を辿れば、当初全国各地の有力な文具小売店の協力を仰ぎ、これを「地域総括店」として各県に代理店網を敷き、この総括店やその下の「小売店」の必至(ママ)の拡販努力によって、全国津々浦々、A社製品がお客様の手に行き渡るようになったのである。この経緯は忘れるわけにはいくまい。
そのA社が今、おかしい。後発・弱小のBという会社がはじめた文具の通販事業「C」が一世を風靡し、A社はこれに一方的に敗け続ける。焦ったAは、これと全く同じ「D」という通販で後追いをはじめる。象徴的なのは、この第一号、二号のカタログだ。掲載順序をはじめ、ページ割り、デザインに至るまで全くそっくりのカタログを作り上げた。(この会社には恥というものがない。全く驚くべきことだ)。
そして、後発の出遅れを取り戻すため、猛然と「価格競争」に打って出る。カタログ発行のたびに商品売価は下がっていき、ついにはこの通販価格が、総括店、小売店への卸価格を下回るように。また、Aはホームセンターや外資系大手の量販店への直接販売にも極めて積極的、というより、なりふり構わずで。
このようにある程度、通販や量販という小売店無視のルートで数字が確保できはじめたA社にとって、今や総括店や小売店は過去の遺物、厄介者でしかない。そこでAは、今この面倒な総括店、小売店を潰しにかかっている。経営不振の総括店は次々買収し傘下に…〉
怪文書には「零細小売店には営業マンの訪問禁止で干す」「法外な取引保証金の要求」「事前通告なしの仕切り価格値上げ」などとも書かれている。怪文書はまだ続く。
〈こんな取引は止めてしまえばの意見もあろうが、A社製品が無ければ文具店は成り立たない。そうした事情を理解した上でのAの強気の姿勢。これは明らかに公正な取引ではなく「優越的地位の濫用」に他ならない。文具小売店は「びんぼう具屋」と呼ばれたように、消しゴムなど低価格で種々雑多な商品群をコツコツと地味にまじめに販売して生計を立ててきた。そんな業界がAという大手の横暴によって、ここ15年で半減した。通販や量販においしいところを持っていかれた。人災だ。文具残酷物語だ。〉
頷ける内容が多いが、個人営業商店が流通革命の下に消えていく現実もあるのだろう。
>日本ジャーナル出版より