2008年9月のリーマン・ショック後、企業は機関投資家からの資金調達が困難になり、その穴埋めとして個人向け社債を活用するようになりました。
そのような流れから個人投資家の間で昨年末から個人向け劣後債が注目されています。特に金融機関が発行する高金利社債が魅力と言われています。高金利といっても3.00%±0.50%の範囲です。しかも、社債額面は100万円~200万円と決して少額資金ではありません。
ここで私が不思議に思うことは、100万円~200万円もの資金があるにも関わらず、なぜ個人投資家たちは個人向け劣後債を購入するのか。
金融機関の関係者によると、金利が3.00%は個人投資家にとって魅力的な商品であると主張しています。また、個人投資家向けの調査でも3.00%の金利は魅力的だと回答しています。私からすると、金利3.00%が魅力的だと認識している個人投資家たちは安全を追求するあまりに「安全の罠」に陥っているとしか思えないのです。「安全の罠」とは、安全商品による資産運用では将来得られるであろう収益を守ることができず、退職後にようやくその代償に気づくことです。
8年間もの間、金利3.00%で100万円~200万円もの資金が縛られることを安全だと思っている個人投資家たちは、資産運用に失敗する可能性がかなり高いです。以前から言っているように、資産運用で成功するとは総資産額が1億円になることです。資金100万円を金利3.00%で8年間運用しても、運用後には124万円にしかなっていないのです。1億円なんて夢のまた夢です。
100万円~200万円もの資金があれば、株式取引や日経225先物取引で十分資産運用が可能です。私がブロマガで公開している運用モデルでは月平均8%前後のリターンになっています。年換算すると、平均金利96%になります。1/10に見積もっても平均金利は約10%になります。おそらく個人向け劣後債を購入する個人投資家のほとんどが株式取引や日経225先物取引を誤解しているか、または経験がないかそれに等しいのでしょう。なぜなら、株式取引でも日経225先物取引でも運用モデルと強い決意さえあれば、ほとんどの方がそれまでとは別次元の収益を手にしているのです。
資産運用の世界は、とてもフェアな世界です。投資歴数十年の大富豪であろうが、初心者であろうが同じ商品を同じ価格で購入できるのです。
つまり、資産運用において年齢、学歴、性別など全く関係なく、個人の力を最大限試すことができるのです。純然たる個人投資家であれば、安全ばかりに気を取られず、フェアな世界で堂々と自分の力を出せばいいと思います。私はそんな個人投資家たちをいつも応援しています。
余談ですが、自分の将来を考える上で、いかに自分の力が大事かを知ることになる内容になっています。
経済協力開発機構(OECD)が発表した2009年版「図表で見る世界の年金」報告書によると、日本の年金水準は加盟30カ国中下から2番目の低水準。
将来得られる給付の所得代替率(現役時の所得に対する年金所得の比率)は、低所得者(平均所得の半分)47.1%、平均所得者33.9%、高所得者(平均所得の1.5倍)29.4%。2008年度の平均所得は556万2000円(国民生活基礎調査による)。
【参考】
中央三井信託銀行が発行する個人向け劣後債発行要項
償還期限:8年1ヶ月(ただし、3年1ヶ月経過後、繰上償還あり)
金利条件:2.95%
発行総額:500億円
社債額面:200万円
募集期間:平成21年6月11日~平成21年6月23日
格付け:A-
三菱UFJ信託銀行が発行する個人向け劣後債発行要項
償還期限:8年(ただし、3年経過後繰上償還の可能性あり)
金利条件:2.52%
発行総額:1000億円
社債額面:200万円
募集期間:平成21年6月5日~平成21年6月24日
格付け:AA-
野村ホールディングスが発行する個人向け劣後債発行要項
償還期限:8年(ただし、3年経過後繰上償還の可能性あり)
金利条件:3.60%
発行総額:3000億円
社債額面:100万円
募集期間:平成20年12月12日~平成20年12月25日
格付け:A+