────────────────────────────────────
●【本日のニュース】/株、相場の転機は11日にあり?
────────────────────────────────────
上値の重い展開が続く日経平均株価。22日は続伸したものの一時100円を超えた上げ幅は大引けで40円に縮まった。投資マネー主導の過熱相場に対する反省機運とともに、新興国を中心とした世界景気の回復シナリオに対する疑念が“梅雨の雲”のように株式市場を覆い始めている。
「相場の転機は11日だった」(三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長)。
市場でこんな声を聞いた。11日と言えば日経平均が約8カ月ぶりに1万円の大台に乗せた一方で、中国では5月の貿易統計で輸出が前年同月比26.4%減と1980年代以降最大の減少率を記録した日。市場の中国経済に対する見方に一抹の影が落ちた。地球の反対側の米国では、上昇ピッチを速める10年物国債利回りが一時4%台に上昇した。
(2009/06/22日経速報ニュースより一部抜粋)
────────────────────────────────────
【ニュースの深層】相場の転機は「3月11日」から変わっていない
────────────────────────────────────
■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
経済アナリスト、木下晃伸です。
■昨日の米株式相場は急落。ダウ工業株30種平均は続落し、前週末比200ドル72セント安の8339ドル01セントと、5月27日以来、3週間半ぶりの安値で終えています。
日経平均先物も反落、9月物は前週末比225円安の9665円で取引を終了し、前夜の大証終値比165円安となっています。
目先株価が下落するとどうしても投資家も元気がなくなります。それは気持として分かるのですが、だからと言って思考停止に陥ってはいけません。
■その中で、本日ご紹介したニュース「株、相場の転機は11日にあり?」は非常に面白いな、と思いました。
私は「3月11日」が相場の転機だったと考えています。それは、弱気一辺倒であった株式市場が「暴騰に転換する可能性」を感じたタイミングとして、当メールマガジンで緊急特別リポートを作成した通りです
一方で、ニュースでは「6月11日」が相場の転機になった、と書かれています。中国や米国での動きから、そう判断した、ということでしょう。
■同じ11日だからでしょうか、3ヶ月前と今も何も変わっていないな、と感じます。
というのも、3ヶ月前に誰も反転するとは考えていなかったはず。日経平均株価は7000円を割れ、5000円、4000円に下落するという意見も多く聞こえてきました。
そして今、平均株価の水準は、3000円ほど上昇していますが、やはり出てくるのは反落という言葉。どちらにしても下落すると考えているようです。
■しかし、株式市場に耳を澄ませると、まったく異なる景色が見えてきます。
日経平均採用銘柄について、11日終値と22日終値を比較したところ、下落率の上位には日立建機や住友重といった機械株、新日鉱HDや三井物、三菱商などの資源関連株が並んでいます。
だから、11日に転機を迎えた、と言うのも頷けます。
では、皆が皆下落しているのか、というとそうでもありません。決して好転している兆しが見えない百貨店では高島屋がしっかりと6月に入り値を飛ばしているのです。
※【8233】(株)高島屋
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=8233
■昨年秋の大幅下落は、猫もしゃくしもすべて下落していました。これはリスクマネーが収縮してしまっていた、ということ。
それが3月11日より反転、今度はリスクマネーが膨張、何でもかんでも上昇する局面となったわけです。
一方で今回は、膨張しつつあるリスクマネーの中で、移動が生じているということ。特に今まで上昇してきた銘柄から、上昇に遅れていた銘柄に移動しているという点が重要です。
悲観論が台頭し、リスクマネーが再び収縮してしまっているのであれば問題ですが、リスクマネーは決して収縮していません。
ということは、今、上昇に出遅れていた銘柄に流れ込んでいるリスクマネーは再び、今回下落上位に登場した資源株や機械株に戻ってくるでしょう。
さらに、悲観論が後退しているタイミングでは、さらにリスクマネーが膨張していくことになります。
今回の株価下落は、転機というタイミングではなく、ファンドマネジャーの視点を持ってリスクマネーの動向に注目し、株式市場に耳を澄ませると、むしろ今後の資源株や機械株の上昇の息吹を感じるタイミングであると考えます。
(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)