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北朝鮮 中国への輸出低下 武器輸出拡大か?
焦点:北朝鮮の通貨下落と貿易減、武器輸出拡大の動機にも
6月18日、北朝鮮の通貨下落と貿易の減少が武器輸出拡大の動機になるとの指摘が出ている。写真は2007年4月、平壌での軍事パレード(2009年 ロイター) [拡大]
【北京 18日 ロイター】 北朝鮮の貿易量減少と通貨ウォンの下落は、同国の外貨獲得が一段と難しくなっていることを意味するが、それは同時に、金正日政権が武器や兵器ノウハウの輸出を拡大させるリスクもはらんでいる。
北朝鮮経済は、故金日成主席が死去した1994年から縮小が続いているが、専門家からは、最近の核実験と一連のミサイル発射実験は、三男への権力継承を目指す金正日総書記が、経済的困窮から国民の目をそらすのが目的との指摘もある。
米カリフォルア大学サンディエゴ校のステファン・ハガード氏は「(北朝鮮貿易は)金剛山や開城での関係が悪化する韓国相手のみならず、中国との間でも減少している」と指摘。「北朝鮮が対外的に孤立を深めている現実を考慮すれば、彼らが外貨獲得のためにミサイル輸出などの不正活動をする動機が増すと考えられる」と述べた。
金剛山観光事業と開城工業団地は、韓国による対北朝鮮経済協力の柱だった。
米国などは、北朝鮮が国連安全保障理事会(安保理)による制裁決議を無視し、武器やミサイル部品、核関連技術を輸出していると指摘。また、外貨獲得のために同国が麻薬や偽米ドル札も流通させているのではないかと疑っている。
国連安保理は北朝鮮が5月25日に実施した2回目の核実験に対し、武器禁輸の拡大を盛り込んだ制裁決議を全会一致で採択。同制裁決議は国連加盟国に対し、領海内や公海上での北朝鮮貨物への検査強化も求めている。さらに米国政府は、北朝鮮の不正活動に関与している疑いのある金融機関などを対象とした金融制裁措置も検討している。
北朝鮮経済に詳しい韓国対外経済政策研究所の趙明哲氏は、こうした制裁措置を乗り切るため、北朝鮮が軍事力への投資をさらに増やすと指摘。「北朝鮮は際限なく武器を輸出しようとするだろう。武器輸出はほかの商品に比べて極めて利益が多いので、彼らは頭からそれを振り払うことはできない」と述べている。
<国境取引>
北朝鮮と国境を接する中国・遼寧省の丹東市では、商品価格の回復も手伝い、現在は1日当たり100台近いトラックが国境を行き来するという。仮に中国がトラックや列車の検査を厳格化すれば、こうした貿易は打撃を受ける可能性があるが、専門家は船舶臨検よりはこうした貨物検査が実行される公算が大きいとみている。
北朝鮮は過去数年、特に中国との貿易を中心に経済を開放しつつあったが、こうした交易は国営企業や軍部がからんでいる。
北朝鮮の年間国内総生産(GDP)は約200億ドル。年間輸出額は17億ドルと推計されるが、今年は15億ドルを下回る水準に落ち込むとみられる。
韓国で2008年に李明博政権が誕生して以降、南北貿易の金額は急激に減少しており、今年3月の開城工業団地での騒動はその傾向にさらに拍車をかけた。韓国の税関当局によると、2009年1─4月の韓国の対北輸出額は81%減の1億6600万ドル、輸入額は72%減の2億6600万ドルとなった。
北朝鮮にとって最大の貿易相手国である中国も、2009年1─4月は総輸出入額が3.7%減少した。
丹東市のトレーダーによると、北朝鮮の通貨ウォンは、昨年の1人民元=約400ウォンから現在は同550ウォン前後に下落、対米ドルでは1米ドル=約3200ウォンから同約4000ウォンに下落しているという。
北朝鮮ウォンの下落は同国製品が輸出競争力を持つことにもなるが、疲弊した経済環境下では、海外で売れるような製品はほとんど生産されていない。ある中国人ビジネスマンは「原材料以外で彼らが作るものには何も興味がない」と語る。
北朝鮮からの石炭出荷は3月と4月に急増し、鉄鉱石価格などの下落を相殺した。丹東市の住民は「ウォンで決済する人はおらず、大量の米ドルが流通している」と語っている。
2009/06/19 15:34
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