木下 晃伸さんのブログ

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「巨大バブル」発生の萌芽に気づくことができるか

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●【本日のニュース】/ガイトナー米財務長官「経済回復にはまだ道のり」
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ガイトナー米財務長官は15日、ニューヨークで開いたエコノミストとの討論会で「(米経済への)信頼感は改善しつつあるが、経済回復にはまだ道のりが続く」と語った。


同長官は「金融や不動産部門で調整がかなり進み、長くマイナスだった民間の貯蓄率も5%まで急回復してきた。米経済は柔軟なので(日本などと比べ)調整が迅速に進行する」と指摘。米経済の底入れに向けた条件は整いつつあるとの認識を示した。


(2009/06/16日本経済新聞朝刊7面より抜粋)


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【ニュースの深層】「巨大バブル」発生の萌芽に気づくことができるか
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。


経済アナリスト、木下晃伸です。



■株価と実体経済が乖離している。一見すると最もな言葉ですが、実は何も言っていないのと同じ、と言えます。


なぜなら、株価は将来を織り込みに行くものです。そして期待をも織り込んで行く。だから、乖離するに決まっているのです。


今の目の前のことだけを見て判断すると乖離しているのかもしれません。でも、それは将来から逆算していないからそう見えるだけ。



■振り返ってみると、ファンドマネジャーになりたいという夢を捨てられず、転職を決めたとき、所属していた銀行の融資担当次長から「人生はそんなに甘くないぞ」と言われました。


運用会社に入ってからは、上司と異なる分析手法を極めようとしていたら、
「このままではアナリストとして食っていけないぞ」と言われました。また、ファンドマネジャー時代には、私がどう考えても分かりにくい文章を見せられ、「こう書け」と言われました。


真に受けて聞いてたら、いまの人生はありません。自分が考える将来像と現在の自分との乖離があるから人間は成長できます。乖離が生じているとき、乖離を埋めてくれる人物との出会いや書籍との出会いがあるものです。


要は自分次第です。


だからこそ、常に自分のありたい姿を描き、その姿に向かっていま何を準備しなければならないのか、工程表を作る必要がある訳です。



■それは、経済も同じ。あるべき姿があり、そこに向けて工程表が練られ、ただしいまはあるべき姿と乖離がある。


その乖離が埋まっていくとき、株価はすでに上昇しています。


工程表を作るガイトナー米財務長官は「(米経済への)信頼感は改善しつつあるが、経済回復にはまだ道のりが続く」と言っています。


であれば、どういう工程表になり、そのためにはどんな施策が必要となるのか。そしてそれは株価にどう反応するのか。


本当に経済を回復させることがあるべき姿(将来)

???
???
???

信頼回復はまだ先(現実)


この???に何を当てはめていくか、ということを常に考えることが必要です。


いまであれば、最も大きなものは「実質的ゼロ金利の維持」ということになるでしょう。かつて、ITバブルが崩壊したタイミングでも、信頼が失墜、回復をめざすために行なったのは利下げでした。


その結果何が起こったか。


利下げによって生まれたマネーが膨張し、原油や不動産に流れ込み巨大バブルを発生させたのです。



■次のバブルは、その前に生まれたバブルが破裂した危機のさなかに醸成されています。そのときは誰も気づかない。


しかし、あるべき姿を考え、乖離を埋めるための施策が何で、それが何を引き起こすのか考えると、これから「巨大バブル」が発生すると思わずにはいられないのです。


前回のバブルが巨大であったことは、次のバブルはさらに巨大なものになる可能性も十分秘めているのです。


(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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