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SDR 国際通貨とは

国際通貨基金(IMF)の特別引出権Special Drawing Rightの略称。金、ドルに次ぐ第三の世界貨幣を目ざすもの。

第二次世界大戦後、各国政府は国際収支の不均衡に備えて金、ドルを保有するとともに、IMFに加盟し、必要とする際にはIMFから資金を借り入れるようにしていた。IMFはこのような加盟国の要請に応ずるために、加盟各国に経済力に比例して金と自国通貨で出資させ、それを共同プールして運用した。ところで、世界貿易が拡大するにつれて、これら各国の対外支払準備(国際流動性ともいう)もまた増加させる必要があるが、金は年々の生産に限度があり、また、ドルの供給はアメリカの国際収支の赤字によって可能となるので、行きすぎればドル不安を起こす。事実、1960年代に入るとドル不安が発生し、金、ドルに次ぐ新しい国際通貨の創出が緊急課題となった。先進主要加盟国が中心となって多くの案が検討されたが、68年にIMF理事会の採択によって決まったのがSDRの創設であった。特別引出権というのは、従来のIMF勘定を一般勘定とよび、それによる一般引出権(GDR)のほかに設けられた特別なものという意味である。

GDRは加盟国が出資しプールしてある基金を利用する権利であるのに対し、SDRはそのための出資を必要としない。加盟国の合意により発行総額が決まると、IMFにおける出資割当額に比例して配分され、IMFに設けられた特別勘定に振り込まれ、貸借記帳により運用される。国際収支が悪化した際には、IMFの指示のもとに自国保有のSDRを他の参加国に渡し、必要とする外貨を入手する。SDRの配分を受けた参加国は、その配分額に応じてIMFの通貨提供の指示に従う義務をもち、受け取ったSDRは自国の準備資産として保有する。なお、SDRを使用した国は、IMFを介して通貨提供国に利子を支払わなければならない。SDRの使用限度は、当初、5年間を平均して配分額の70%となっており、それを超えると復原(使用したSDRを買い戻すこと)の義務があったが、1979年からは85%に緩和され、さらに81年には100%に引き上げられて、復原の義務はなくなった。

SDRの第一次創出は1970年から3年間にわたって3回、合計94億SDRが創出・配分された。その後6年間新規配分は停止されていたが、79年に第二次創出が決まり、81年までの3年間に合計120億SDRが追加創出され、配分された。SDRの価値は、当初は金によって表示され、1SDRは純金0.888671グラムに等しいとされたが、それは当時の1米ドルの価値に等しかった。その後、先進主要通貨が変動為替(かわせ)相場制へ移行したのに伴って、SDRの価値も金表示をやめ、世界貿易での比重が大きい16か国の通貨価値の加重平均(標準バスケット方式)で決めることになり、さらに81年には計算の簡便化を図るため主要5か国(アメリカ、イギリス、ドイツ=スタート時点では西ドイツ、日本、フランス)通貨のバスケットに改正された。バスケットのなかの各通貨の額は86年からは5年ごとに改定されるようになっている。

1978年のIMF協定改正では金廃貨が決まり、SDRは金にかわるものとして期待されたが、現状では創出額の規模も小さく、またその使用に際しては制約もあり、国際通貨としては発展途上にある
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