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●【本日のニュース】/GM・クライスラーの政府支援、矛盾多く曲折も
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米最高裁判所が8日、連邦破産法に基づくクライスラーの資産譲渡手続き承認を先送りした。10日には米上院が同社とゼネラル・モーターズ(GM)の破産法下での再建策を主導した政府担当者を呼び公聴会を開く。支援策が頓挫したわけではないが、公的資金を投じるだけに今後も論議がありそうだ。
(中略)
米上院銀行委員会が10日に開く公聴会では財務省で自動車担当の上級顧問を務めるロン・ブルーム氏が証言する。今回の政府支援では「救済は誤り」(マコネル上院院内総務)と共和党が反発。再建策を支持する民主党内でも、工場や販売網の整理に関しては「雇用への影響緩和が不十分」との声がある。
両党議員からは支援の経緯だけでなく今後の再建計画についても注文が付くのは確実。政府管理下の企業再建の矛盾は今後も膨らむ見通しで、両社の再生への道筋は一直線とはいかない情勢だ。
(09/06/10日本経済新聞朝刊6面より一部抜粋)
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【ニュースの深層】出来レースと思われてはかなわない
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■いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
経済アナリスト、木下晃伸です。
■一本調子で上昇を続けてきた株式市場に対し、ここに来てにわかに強気派が増えてきました。
特に少し前まで株価が上がるなどと微塵も言っていなかった人が強気に転換するとだいたいロクなことがありません。
こういった人たちのことを「当たり屋」の反意語として「曲がり屋」と言います。株価の大底で弱気になり、株価の上昇ピークで強気になる、という意味でいつも意見発表後曲がる、という意味です。
これが日本だけでなく、世界的に増えているのでしょう。
■いまはまさに典型的なタイミングと言えます。株価が上昇してきたため、特段の理由なく後付けで株高を理屈付ける人が増えてくると、株価は軟調な展開となることが多い。
そうなると、少しの悪材料に過敏に反応するケースが増えてきます。例えば、本日紹介しているGM、クライスラー問題は特にそうでしょう。
■元々、GMやクライスラーが政府支援を受けて再建すること自体、そもそもとんでもないことなのです。
それをいまさら「救済は誤り」(マコネル上院院内総務)と反発しても、、、と思わずにはいられません。
仕事でも一度決まった方向性に対して、後からイチャモンをつける輩にロクな人がいないのと同様、と考えると分かりやすいかもしれません。
■しかし、この反発状況は、08年9月末という未曾有の金融恐慌に揺れたタイミングで、米下院が、不良資産の買い取りを柱とした金融安定化法案を否決したことに発想としては似ています。
これを受け、ニューヨーク株式市場のダウ工業株三十種平均は史上最大の下落幅を記録、前週末比777ドル68セント(6.97%)安となってしまったのです。
なぜ、否決したのか。それは、政治家としては否決せざるを得なかったのでしょう。
自分の票田の方々に、否決しなければ説明がつかないからです。どうして無茶苦茶な経営をした金融機関を、自分たちの税金を使って救わなければならないのか。国民感情はどこも同じです。
■日本でもそうでした。92年にはすでに故宮澤喜一氏は、公的資金の導入を検討すべきと語っています。その後の迷走した金融行政を考えれば卓越した意見だったはずですが、やはり国民の目を政治家として受け止める場合、押し通すには実際の景気悪化、株安を待って、尻に火がついてからしか実行できなかったのです。
今回のGM、クライスラーの問題も根っこは同じ。
政治家としては反対するのは、ポーズと言ってもいいかもしれません。
政治のせいにしても、他人のせいにしても、意味がないことは分かっていても、ついつい責任の矛先を探してしまうもの。
その矛先が、自分たち政治家に来たらたまったものではない。だから目先は反対したポーズをしようという発想ではないか、と思うのです。
であれば、いずれこの事態は収拾に向かいます。なぜなら、いまイチャモンをつけても結果として待っているのは、株安、景気の悪化だから。
ポーズをつけられるうちはいいですが、早晩、姿勢を変えなければならないとなると、このニュースは、将来の株高につながるニュースと考えられるのです。
(文責:木下晃伸 きのしたてるのぶ)
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