天、我に薄くするに福をもってせば、吾、吾が徳を厚くしてもってこれを迓えん。
天、吾を労するに形をもってせば、吾、吾が心を逸にしてもってこれを補わん。
天、吾を阨するに偶をもってせば、吾、吾が道を亨らしめてもってこれを
通ぜしめん。天かつ我をいかんせんや。
(天が幸福を少なく授けてくれたら、われは徳を厚くして迎えよう。
徳を高めて幸福をかちとるだけである。天がわれに苦しい仕事をさせて
肉体を苦しめようとするなら、われは心を楽にしてこれを補おう。
天がわれに進退きわまるような苦境に落とそうとするなら、われ、
初心を貫くようにしよう。
こうであれば天としても、わが強固な決意にどうすることもできないであろう)
引用 菜根譚を読む 著者 井原隆一