徳は、事をなす基礎となる  3

道徳を棲守する者は、一時の寂寞たり。権勢に依阿する者は、万古凄涼たり。

達人は物外の物を観じ、身後の身を思う。むしろ一時の寂寞を受くるも、

万古の凄涼を取ることなかれ。


(人間としての道を通そうとする者は、一時的には不遇で苦境に立たされる

こともある。権力におもね、へつらう人間は一時的には栄進もするし、虎の

威を借りて居心地もよいが、やがては永遠の孤独に苦しむことになる。

達人は、世俗を超えたところに真実を見いだし、この世を去ったあとの

自分の名を惜しむ。片時の寂しさを味わうことがあっても、そのために永遠に

孤独を招くようなことをしてはならない。)


引用  菜根譚を読む 著者 井原隆一
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