インターネット企業の業績が二極化している。
傾向が顕著なのが、内容や利用者を絞った専門サイトの運営会社だ。
「安価で手軽」な課金型サービスが好調な一方、広告依存度が高い
企業は苦戦が目立つ。
交流サイトのグリーは10日、2009年6月期の単独税引き利益が前期比6.6倍の
38億7000万円になりそうだと発表した。
新規上場後、5カ月で2回目の上方修正。
景気悪化を横目に、全上場企業の中でも群を抜く成長率だ。
グリーは交流サイトに分類されるが、広告収入で稼ぐ同業のミクシィとは
収益構造が異なる。
売上高の7割はゲームなどのコンテンツ利用者が払う課金アイテムの利用料だ。
グリーのコンテンツは「無料で利用し放題」が売り物。
会員登録のハードルを下げて若年層を中心に会員を集めた。
ゲーム自体は無料だが釣りゲームで使う釣りざおなど、より楽しむための
アイテムを販売して収益化する。
安価で手軽な範囲を超えないよう大半の価格は数百円にとどめる。
5日には会員数が1000万人を突破。
田中良和社長は「手軽に楽しめる点が受けている」と自己分析。
同様の収益構造でマザーズから東証1部に“出世”したのがディー・エヌ・エー。
両社が大幅増益となる一方、広告収入が伸び悩んだミクシィは成長の踊り場に
差し掛かっている。
飲食店情報サイトのぐるなびも課金型ビジネスで業績を伸ばす。
飲食店が支払う販促支援料(掲載料)が売上高の8割超。
広い意味で広告型モデルともいえるが、大きな違いは短期の広告出稿契約ではなく
長期の掲載登録である点だ。
広告のように景気後退で短期間に急減することはない。
ネット事業は仕組みが機能すればコンテンツ仕入れ料やサーバー費用など
少ない原価で多くの利用者を集めることができる。
グリーの08年7―12月期売上高粗利益率は92%に達する。
売上高が予算を上回ると販管費のコントロールが的確なら営業利益は大きく上振れする。
逆の現象が起きたのが広告依存型サイト。
広告出稿が伸び悩み、てこ入れのための新サービス立ち上げ費用で利益ののりしろが
縮んだ。
ポータル(玄関)サイトのエキサイトは07年3月期に50%を超えていた粗利率が
前期は30%台に落ち込んだようだ。
約5割だった売上高の広告事業比率は3割程度に低下した。
電通のまとめでは、08年の国内広告費は前年比5%減。
成長分野のネット広告は16%増だったが、企業が広告効果を吟味しはじめた結果、
ヤフーなど一部のサイトに出稿が集中している。
ネットも広告需要冷え込みの例外ではない。
いちよし経済研究所の納博司主席研究員は
「特定分野の首位でなければ成長持続は難しい」
と指摘する。
利用者を引き付ける特徴の明示が一段と重要になる。
3銘柄とも要件は満たしてんだけどね・・・