16年にわたって成長をおう歌してきた英国が金融危機の激震に揺れている。世界からマネーを集め自国経済の活性化につなげる「金融立国」路線が、急激な信用収縮で一転して裏目に出始めたからだ。銀行救済に伴う財政悪化懸念から英国債や英ポンドの相場は急落。サッチャー改革で復活を遂げた英国は壁に突き当たっている。 「金融保護主義の恐れがある」。ブラウン英首相は国境を越える資金取引の急減に危機感をあらわにする。昨年秋以降、金融機関がリスクを恐れて外国への与信を抑制するのは世界共通の現象。だが首相が「保護主義」という表現でけん制するのは英国特有の事情がある。