1/10に売りPICKSしたエス・イー・エスが、インフルエンザで寝込んでいる間に民事再生手続きに入ってしまいました。
なぜこういう事態に陥ったかについて、思うところを書いてみます。
エス・イー・エスは一昨年あたりから、太陽電池製造装置の一括受注(フルターンキー受注)体制の構築に全力を上げていました。
顧客からは、同社の得意分野である洗浄装置だけでなく、フルターンキーでの受注を要望されていたようです。フルターンキー受注が実現すれば売上や利益の増加も見込めると判断してのことだったと思います。
しかしこの戦略には3つの誤算があったと思います。
同社の得意な洗浄装置は太陽電池製造装置の中では圧倒的なコア製品ではなかったことがあります。コア製品を持たない企業の背伸びした戦略に見えます。
次にフルターンキー受注のためには拡散装置、CVD装置など、同社が手がけたことのない装置が必要でした。これらの製品獲得のため、同社は他社からのOEM供給を受けたり、他社と合弁会社を設立したりします。これら先行投資は、企業体力に対して過大で負担が大きかったと想像できます。
最後にフルターンキー受注は、結晶系太陽電池の製造装置では大きな意味を持たなかったことです。各工程は独立しているため、フルターンキー受注は顧客には「やってくれれば便利」ていどのメリットでしかなかったということです。
本業の半導体製造装置も苦しい状況でしたが、洗浄装置に絞って世界シェアをアップさせる戦略に出ていれば、これほど早く破綻することもなかったと思います。
エス・イー・エスはいい技術を持った企業なので、悪く言うのは心苦しいですし、再生してもらいたいと願っています。
いい技術を持った企業も、戦略を誤るとあっというまに破綻してしまうという、恐ろしい事例であったと思います。
4件のコメントがあります
1~4件 / 全4件
じぇにさん、こんばんは。
> 買うときはそれなりに研究してるつもりですが、あとはよく考えていなかった自分に気付かされました
私もいつもそうです。買ってから、あれ、こんなはずじゃ...って思うことばかり。
じぇにさんのおっしゃるとおり、私も結果について気がついたことはなるべく書いてみようと思っています。
> 買うときはそれなりに研究してるつもりですが、あとはよく考えていなかった自分に気付かされました
私もいつもそうです。買ってから、あれ、こんなはずじゃ...って思うことばかり。
じぇにさんのおっしゃるとおり、私も結果について気がついたことはなるべく書いてみようと思っています。
影さん、こんばんは。
個別では高い技術を持っていても、背伸びしすぎると危険という例だったと思います。
でも、小さい企業は常に背伸びするくらいでないと生き延びられないのも確かです。
この加減が難しいのでしょうね。エス・イー・エスだって、こんな経済状況にならなければ勝ち組になっていたかもしれませんし。
ご指摘のように、高い技術を持った会社なので、ぜひ復活してほしいです。
個別では高い技術を持っていても、背伸びしすぎると危険という例だったと思います。
でも、小さい企業は常に背伸びするくらいでないと生き延びられないのも確かです。
この加減が難しいのでしょうね。エス・イー・エスだって、こんな経済状況にならなければ勝ち組になっていたかもしれませんし。
ご指摘のように、高い技術を持った会社なので、ぜひ復活してほしいです。
破綻した企業に対して深くかんがえたことなかったです。
ダメだから次~!
いぃ感じだから嬉しい~♪とかじゃなく逐一原因を考えることが次につながるんでしょうね。
買うときはそれなりに研究してるつもりですが、あとはよく考えていなかった自分に気付かされました。
ダメだから次~!
いぃ感じだから嬉しい~♪とかじゃなく逐一原因を考えることが次につながるんでしょうね。
買うときはそれなりに研究してるつもりですが、あとはよく考えていなかった自分に気付かされました。
お疲れさまでござる。
わかりやすい解説痛み入りまする。
太陽電池のウエハーはご指摘のように工程が半導体ウエハーに極めて近く投資金額がかさむのに対し、遥かに単価が安いことが欠点かと存じまする。つまりは価格を安く製造することが第一の命題であり、工程改善で付加価値を見出すことが困難な製品なのでござりましょう。フルターンキー工程は、いわば「宝の持ち腐れ」になってしまったかと存じまする。
ともあれ、製品や技術は非常にユニークなものを持っている会社のようなので、是非復活してもらいたいものでござる。
わかりやすい解説痛み入りまする。
太陽電池のウエハーはご指摘のように工程が半導体ウエハーに極めて近く投資金額がかさむのに対し、遥かに単価が安いことが欠点かと存じまする。つまりは価格を安く製造することが第一の命題であり、工程改善で付加価値を見出すことが困難な製品なのでござりましょう。フルターンキー工程は、いわば「宝の持ち腐れ」になってしまったかと存じまする。
ともあれ、製品や技術は非常にユニークなものを持っている会社のようなので、是非復活してもらいたいものでござる。