木下 晃伸さんのブログ
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【投資脳のつくり方】雇用統計、市場予想を上回る悪化
2009年1月8日(木)本日お伝えする内容はこちら!
1.【米国】雇用統計、市場予想を上回る悪化
2.【日本】日経平均7日続伸、2年9ヵ月ぶり
3.【インド】インドIT大手サティヤム、利益水増し数年間
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1.【米国】雇用統計、市場予想を上回る悪化
(出所)2009年1月8日付日経速報ニュース等より
●米雇用統計が市場予想を上回って悪化している
●株式市場は、素直にマイナス反応を示した
●さらに悪化する準備をしておく必要がある
民間雇用サービス会社、オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が7日早朝発表した昨年12月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月比69万3000人減となった。雇用の減少幅は市場予想(51万5000人減)以上だった。
これを受け、昨日の米株式市場は急反落、ダウ工業株30種平均は前日比245ドル40セント安の8769ドル70セントで終えている。
昨日の米株市場の急落を引き起こしたのは、雇用問題に加えてインテルの業績下方修正が大きかったが、こちらは報道で言われるほど厳しいものではない。昨日はたしかに6%を超える下落となっているが、年初の水準に戻っている程度にすぎない。11月末から一本調子で上昇していれば一服するタイミングも必要だ。
しかし、雇用の悪化は株価に大きな影響を及ぼす。これは、企業業績が悪化していることを意味し、不良債権が増大することを意味しているからだ。また、消費増も期待できないため、雇用は株式市場にとって大きな影響を及ぼす、と言える。私自身は、元々前月比80万人減、失業率8%レベルにまで落ち込むことがあるという悲観的な予想を準備して臨んではいたが、株式市場のかく乱要因になりうるため、注視しておかなければならない大事な指標のひとつだ。
2.【日本】日経平均7日続伸、2年9ヵ月ぶり
(出所)2009年1月8日付日本経済新聞朝刊3面より
●日経平均株価上昇に眠る反落の予兆
●大型株がストップ高するのは、異常なこと
●ビジネスの行く末をしっかりと分析することが性に合っている
7日の東京株式市場で、日経平均株価が約2年9カ月ぶりに7日続伸となった。ハイテクや自動車などの輸出関連株がけん引役となった。円安を追い風にシャープは連日のストップ高。太陽電池を手掛けるため環境関連銘柄としても人気化し、昨年末からの3日間の上昇率は4割を超えた。東京証券取引所ではキヤノンやホンダなど40銘柄がストップ高となった。
環境関連は、昨日も当メールマガジンでお届けしたように長期で耐えうる投資テーマであることに違いはない。たしかに、株価が上昇するのは結構なことだ。しかし、ここまで急ピッチに上昇されると、今度は弱気の虫が騒ぎ始めるのが投資家の普通の心理だろう。それは、適切だと思う。足元の上昇は、過分に期待が込められているように思えてならない。
環境はすぐに利益が出る類のものではない。電気自動車が生み出され、収益化されるのは当分先だ。一方、米国の需要後退で業績が2010年3月期の来期にさらに悪化する自動車セクターがストップ高するのは、オバマ次期大統領が環境を掲げていることに対する期待を、短期トレーディングで楽しんでいるのだろう。
もちろん、トレーディングを否定するつもりはまったくない。私は腕に覚えがないからやらないだけだ。それよりも、ビジネスの行く末を眺め、仮説を立てながら景気・経済を分析するほうが、中長期的に間違いが小さく、自分の性にあっているだけ。投資家の心理やビジネス環境等々全体を俯瞰すると、1月中に反落するタイミングを頭に入れておく必要が出てきているように思う。
3.【インド】インドIT大手サティヤム、利益水増し数年間
(出所) 2009年1月8日付日本経済新聞朝刊7面より
●インド大手IT企業が粉飾決算
●インド株式市場、財界はパニックに
●投資家の哲学が試される事例と考えるべき
インドIT(情報技術)大手、サティヤム・コンピュータ・サービスのラマリンガ・ラジュ会長は7日、辞意を表明した。数年に及ぶ粉飾決算を明らかにし、その責任を取る。株式市場では印企業の企業統治への不信感が噴出し、7日の取引は代表的な株価指数が前日比七%以上も下がる全面安の展開となった。
サティヤム・コンピュータ・サービス インド南部ハイデラバード近郊に本拠を置くITサービス大手。ラマリンガ・ラジュ会長が1987年に創業した。従業員数は5万2865人(9月末)。世界65カ国以上の顧客企業にシステム受託開発などのサービスを提供している。
昨日の米NY市場では、サチィヤムのADRに容赦ない売りが浴びせられた。株式市場にも息の根を止められた、といっても過言ではない。
Satyam Computer (ADR)(Public, NYSE:SAY)
http://finance.google.com/finance?q=NYSE%3ASAY
昨年末にはファミリー企業との合併を模索するなど隠ぺい工作を行おうとしていたことも明らかとなった。粉飾は許されることではもちろんないが、不景気になると隠しきれなくなり不祥事が露見することは正常化の“兆し”。さらに、昨年の不透明な合併も内外の投資家が猛反発したことで、むしろガバナンスは機能し始めている。もちろん、インドへの投資は、こうした事態にも揺るがない、投資の哲学を持って長期スタンスで臨まなければ、心理ストレスは大変なものだ。今回の事例は、投資家の哲学が試されている。
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