TOPIX +10 @2,712
日経平均 +107円 @38,643円
米国では、10月生産者物価指数(PPI)がやや強い結果となった(前年比+2.4%>予想2.3%、9月分修正値は+1.9%)。これを受けてパルエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げを急ぐ必要がなくなったと発言したため、利下げ観測が後退し、株価は売り優勢となり小幅反落した。米10年債利回りは前日の4.451%から一時4.483%まで上昇した後、4.441%で引けた。
本日11月15日の東京市場では、円安ドル高の進行を好感して自動車や機械など輸出関連銘柄が買われた。オランダの半導体製造装置大手ASLMホールディングス(最先端の露光装置の生産を手掛ける唯一のメーカー)が2030年の売上目標を据え置き、強気の姿勢を示した。露光装置の生産が
増えるなら日本企業が得意なその他工程への投資も増えるはずとの見立てから、日経平均寄与度が大きいディスコなどの半導体株も買われ、日経平均の上げ幅は一時500円を超えたが、大引けに向けて売られて上げ幅を縮小した。
国内金利が上昇しており(新発10年債利回りは1.07%台へ)、収益拡大が期待される銀行と保険が着実に上げている。特にメガバンク株の上昇が目立つ。メガバンク3行合計の4~9月期連結純利益は前年同期比36%増の2兆5495億円と最高益となった。通期業績見通しの上昇修正に加えて、配当引き上げ期待、自社株買い期待の3点セットを背景に、メガバンク株には追い風が吹いている。特に16年ぶりに自社株買いを発表したみずほファイナンシャルグループは6%を超える大幅高となった。日銀の追加利上げ観測も銀行株には好材料である。しかし、追加利上げはその程度次第では景気を冷やしてしまい資金需要を減少させる効果もあるので、諸手を上げて歓迎できるものではない。さらに、米国でトランプ次期大統領が来年1月に就任すると、公約している関税引き上げ政策が本当に対日でも実施されると日米両国の経済に悪影響を及ぼすことになる。その結果として米経済が減速するようになれば、長期金利が短期金利よりも速く低下するためイールドカーブはフラット化する。すると、短期の低金利で資金を調達し、長期のより高い金利で運用して儲けるという銀行のビジネスモデル上、利益が縮小することになり、銀行株は売られる。こういうロジックも頭の隅に置いておく必要もあるだろう。
日経平均の日足チャートを見ると、長い上ひげを引いた短陰線で終えた。これで4日連続陰線となり、とくに本日は長い上ひげを引いたことから、上値では売り圧力がとても強いことを示した。
33業種中22業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、鉱業(2位)、電気・ガス(3位)、銀行(4位)、輸送用機器(5位)となった。