金融危機が来ると考えるいくつかの理由

はるるっぴさん
先月、10人くらいの飲み会に参加したときの話。

会社からマイナンバーカードを作成するように言われたときのことを話している女性がいました。

「政府のすることなど、1ミリも信用していません!」

と総務の担当者に言って断ったと話していまいた。

その話を聞いていたもうひとりの女性が、

「わたしもそうよ~」
「わたしは、0.1ミリも信用していないから~」

と答えていました。



日本人は、政治家の言っていることを信用していない人は結構いるようですが、アメリカの要求通りになっている政府や省庁の決めたことは、なぜか信用している人が多いようです。

ただ、この2人の女性は、信用していない。
2人ともよく勉強されているようでした。

素人のひとりごと日記です。

「金融危機が来ると考えるいくつかの理由」

政府系のエコノミストは、米国経済は、ソフトランディングするとか、なかには、ノーランディングすると言っている人もいます。

本当にそうでしょうか?

自分自身の頭の整理のため、思いつくところを少し箇条書きしてみます。

ポイントは、

「米国から世界の投資マネーが逃げれば、金融バブルは崩壊する」ことです。

グローバルマネーの動きを理解することが重要です。

●米国の利上げによる米国の債券価格の下落

米国債金利の上昇(米国債券価格の下落)によって、金融機関の保有する米国債、ローン担保証券の価値が下がっています。

これらを保有する米国の金融機関は、「含み損」になっています。大量の預金の引き出しなどで現金化が必要になり、米国債やローン担保証券を売却することになれば、「含み損」が実現損になって、金融機関の破たんにつながります。

2023年3月 シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行破綻の時に導入されたBTFP (Bank Term Funding Program )によって、米金融機関の破綻の連鎖が止まりました。
(BTFPは、2025年3月までにお金を返済しないといけないので要注意)
(BTFP残高 2024年6月末段階では1,063億ドル)

この問題は、解決した訳ではなく、問題の先送りをしただけです。

(2023年3月)FRBの緊急融資プログラムであるBTFPの設定は、NHKのトップニュースになるほど日本人にとっても重要な情報でした。
(FRBが救済しなければ、一挙に金融危機になる可能性があった)

受信料を徴収して、みなさまの声にお応えするNHKは、これもしっかり無視しました。

日本人には、なかなか重要な情報が入ってきません。
マスコミが報道するのは、何もかも終わってからになります。
(間違ったコメントつき)

●円と人民元のキャリートレードの巻き戻し

米国のFRBは、利下げ方向。
日本の日銀は、金融引き締め方向。(含む、国債買い入れ額の減少)

日本の金融政策は、インフレ・円安への対応で引き締め方向に進みやすい。
(2011年3月の東日本大震災以来、日本は貿易赤字の年度が多くなっているので、日本にとっては、円高が望ましい)

大きな流れは、日米金利差の縮小です。
(流れが変わる可能性もゼロではありません)

金利差の縮小をマーケットが織り込むと、円キャリートレードの巻き戻しが想定できます。

中国の人民元についても、米国の金利が下がれば巻き戻しが起きるでしょう。

欧州が共通通貨ユーロを作った後、ドル基軸体制を支えてきたのが、中国のドルペッグ制です。その中国もドル売りに転じている。

米国の金利が下がれば、日本と中国だけではなく、中東のオイルマネーも含め、世界中のマネーが米国から逃避していくので、FRBの利下げ効果が打消しされる。

双子の赤字をかかえる米ドルは、基本的には、弱い通貨です。
(日本を含め海外の投資マネーが米ドルを買っているから強く見えるだけ)

米国は巨額の経常赤字国なので、海外からのドル買いが大きく減少すれば、資産バブルが崩壊します。

同じようなことが過去に何回か起きています。
歴史は繰り返すので、このあたりのことは容易に想定することができます。

投資家にとって、歴史は重要です。
しかし、歴史を学ばないのも投資家だったりする。

●米国の実体経済の悪化

わかりやすいところでは、FRBの利下げが証明している。
FRBが先行き米国の好景気を予測していれば、利下げなどしない。

FRBが重視している雇用、個人消費に陰りが見える。

・雇用について

米国労働統計局の発表する雇用統計は、不法移民の就労やダブルワーカーが含まれているなど、問題がありありで、信憑性にも欠ける。

また、マーケットが注視する非農業部門雇用者数の増減数値などは、米国全体の労働者人口から見れば、わずかな数で、統計誤差の範囲の数値です。

マーケットを支配しているユダヤ資本が得意とするのは、

「情報操作」「統計操作」「株価操作」です。

・住宅市場と個人消費について

住宅市場では、金利が上昇すると、当然、住宅ローンの金利も上昇する。
月々の返済額が増えるため、住宅の買い控えが起きています。

中古住宅の売却物件が減るため、住宅の供給減で住宅価格は下落していませんが、中古住宅販売件数が減少傾向にある。(米国住宅市場の危険な兆候)

住宅価格の上昇のところだけを見て、その原因を見ないと間違えます。

【米国住宅市場の不思議な効果:ロックイン効果】
低金利で住宅ローンを組んだ住宅保有者が住み替え時の金利負担増を嫌い、今の家に住み続けることを選択する現象



日本の個人投資家に人気のエコノミストは、米国の個人資産が増大しているので、資産効果と信用価格効果で米国の消費は順調で、好景気は続くと言っていました。

本当にそうでしょうか?

米国の個人資産が増えたから豊かになったのかというと、そうではない。

厳しいインフレで、多くの米国人は、豊かさは向上していません。むしろ、上がった住宅価格から、持ち家ではない世帯(アメリカの全世帯の32%)は、住宅価格に比例して上がる賃貸料の上昇で貧しくなっている。
(もっとも、円安の日本に旅行にくると、豊かさを感じるかもしれません)
(日本人は、欧米に旅行に行くと貧しさを感じる)

GDPに占める消費の割合が高い米国は、確かに、資産価格の上昇で経済を支えていることがわかります。しかし、いったん、資産価格が下落したときには、これまでのことが逆回転し、米国株や不動産のバブルは崩壊します。
(ハイマン・ミンスキーの金融不安定性仮説<ミンスキー・モーメント>)

不動産バブルの崩壊から、金融危機が起きるのは、1990年代の日本の不動産バブル崩壊を経験したご年配の日本人が一番よくわかるはず。

心地よい無感覚の中で、忘れている人が多い。

「人間は忘れる動物です」(桂 文枝)

投資家は、呑気な専門家ではないので、普通に考えればわかることを理解すべきでしょう。

●米国のシャドーバンクの危機

シャドーバンクのヘッジファンドについては、日記に何度も書いてきたので、詳しいことはここでは省略します。

金融当局の規制外で、保護の対象外になる巨大化したシャドーバンクを救済できるのか?

シャドーバンクを支配する米国のバブル金融は、複雑難解で、凡百の市場専門家では理解できない。エキゾチック金融を理解していない市場専門家の話を聞くと間違えるので、注意が必要です。

グローバルマネーの勉強に真摯に取組むと

「政府系のエコノミストの話など、1ミリも信用していません!」

となるかもしれません。

●米国の商業用不動産価格の下落

商業用不動産への融資の比率の高い、米国の中小金融機関の経営が厳しくなっています。

ある著名なエコノミストが、米国の不動産ローンは住宅ローンが中心で、商業用不動産ローンの割合は少ないので、それほど心配する必要はないと解説していました。

商業用不動産ローン(特にオフィス向けが問題になっている)の割合は、約30%です。

約30% → これ少ないですか…

また、米国の不動産ローンは、日本と違いノンリコースローンになっているため、貸し手の金融機関のリスクが高い。(重要です)

●米国の巨額の政府債務問題

来年1月2日に、現在適用が停止されている債務上限が復活する。

世界の三大格付け会社の中で唯一、米国債を最上級格付けのトリプルAに据え置いているムーディーズが米国債を格下げする可能性がある。

信用リスクがないとされる米国債が、ムーディーズによる格付けも最上位から転落すると、機関投資家の中からは、米国債の保有を減らす動きも出かねない。

●FRBのBTFPの実質終了

BTFP 2024年3月に終了

危ない銀行は、2024年3月までに駆け込みでお金を借りた。BTFPの資金供給は1年間です。この制度が終わるのは、2025年3月。それまでにお金を返済しないといけないので注意が必要です。

BTFP残高
2024年2月末 1,631億ドル
2024年6月末 1,063億ドル

2025年3月にBTFPは、実質的に終了する。
FRBは、超法規的な措置を何度もとることができるのか?

そうなると、資金難の銀行は、FRBのDiscount Window(FRBが民間企業に短期資金を貸付)に頼りたい。

しかし、通常は銀行同士で行う無担保融資で資金の貸し借りをする為、Discount Windowを使用すると、銀行の信頼が低下するので、取り付け騒ぎの要因になってしまう。

FRBは、Discount Windowを巡るこうしたマイナスイメージの払しょくに努めているとしていますが、どうなるのでしょうか?

●BRICSの動き

脱ドルの動き(de-dollarization)

大きな流れを理解する。

「de-dollarization」
これもキーワードです。

信用を失いつつある基軸通貨ドルに対抗するBRICS通貨は、金(ゴールド)や石油ガスなどコモディティをR5{ブラジル・レアル、露・ルーブル、印・ルピー、中・人民元(RMB)、南ア・ランド}の裏付けにする動きがあります。

覇権国家の米国に不利になる情報なので、西側メディアは報道しない。

また、通貨に関する情報は、重大な秘密情報なので、なかなか情報が入ってこない。ただ、客観的な情報から考えると、多くの問題を抱えながらもすすんでいると思う。

関連するCBDC(中央銀行デジタル通貨)の話は、長くなるので省略します。

●インフレの中での金融緩和は、容易ではない。

金融危機を回避するために、また大規模な金融緩和はできるのか?

いざとなったら、当局が適切な対応をとるので、大丈夫と言っている専門家もいました。

本当にそうでしょうか?

まず復習から

現在の日本のインフレの大きな原因は、アベノミクスでの大胆な(愚かな)異次元の金融緩和です。(異次元緩和→円安→輸入物価の上昇)

異次元緩和は、財政ファイナンス。
財政法5条で禁止されているので、やってはいけないことです。

「非伝統的金融政策」とも言われていましたが、その意味は、「伝統的に成功しないことがわかっている政策」を意味しています。

政府や日銀は、絶対に認めませんが、日本人を貧しくする異次元緩和は、大失敗した。

2012年 アベノミクスへの警鐘をされた政治家がいたことを思い出します。

「過剰な金融緩和がバブルの形成と崩壊につながった教訓を踏まえると、過剰な金融緩和はマイナスになる。リフレ的な考え方は弊害が大きく、金融が経済成長の主役になるという考え方は間違いだ。日銀政策委員会委員は客観的に金融を見る人が望ましく、金融で経済を良くしようとする人は望ましくない。」{藤井裕久 民主党最高顧問(当時)}

デフレの原因は金融政策にある=政治家の職務放棄

このような正しい見解は、報道しない自由を守るマスコミたちによって、無視されました。

国民を苦しめるインフレになったのは、日銀が約500兆円の通貨を増発した異次元緩和とコロナ対策の予算に100兆円規模(実質的にはもっと多い)の巨額の財政資金(国民の税金)を無駄に投入したことが大きな原因です。

当時の日経新聞の記事より

『政府が新型コロナウイルス対応へ用意した「コロナ予備費」と呼ばれる予算の使い方の不透明感がぬぐえない。国会に使い道を報告した12兆円余りを日本経済新聞が分析すると、最終的な用途を正確に特定できたのは6.5%の8千億円強にとどまった。9割以上は具体的にどう使われたか追いきれない。国会審議を経ず、巨費をずさんに扱う実態が見えてきた。』(日経新聞 2022年4月)

政治家や官僚たちは、裏で製薬会社と癒着している御用学者のいいなりになって、国民に寄り添わないヒドイことをしました。

日本人は、もう少し怒ってもよいと思いますが、知らないから怒れない…

これも当時、一流芸能人のGACKTさんは  コロナ対策の強化について、

「まあまあまあ、皆さん、ちょっとコロナよくないすか?」
「もうあんまり神経質になること止めないですか?」

「これ世界的な仕掛けがありますよね。誰が得してるかって話なんですけどね」
「どなたが儲かるんでしょう。どの国が儲かっているんでしょうか。考えてみてください」

などと発言して話題になっていました。

厚労省の御用学者と一流芸能人のGACKTさん

どちらが正しいこと話していたのか、目覚めて気づいた人も増えてきたと思います。



日本も米国も同じで、もし仮に、金融危機を回避するために、今後インフレの中で、大胆な金融緩和や巨額の財政出動をすると、火に油を注ぐ結果になるでしょう。

机上の優等生の学者たちが考えたMMT理論(現代貨幣理論)は、インフレになったらおしまいです。

インフレを伴う政策を安易にすすめることはできません。

歴史の教訓でもあります。

●中国の不動産バブル崩壊と経済危機

数多くの社会問題を抱える中国の実体は、「中国見聞」でわかりやすく取り上げています。

危機的な状況を脱するために、中国は、国債、地方債を合わせて10兆元(約210兆円)の追加発行を決めるとの予想もあります。(本日の日経新聞)

リーマン危機のときは、4兆元の景気対策を打ち出した。

わたしが北京に行ったときに、ガイドさんが4兆元の景気対策の話と、当時の現地の状況を詳しく教えてくれたことを思い出します。
(このガイドさんは、中国共産党に対して批判的でした)

(注意)
金額だけ見ると、10兆元の方が大きい。ただ、GDP比で見ると、10兆元は8%弱。リーマン危機のときの4兆元は、当時のGDP比13%なので、これを下回る規模です。また、現在の危機の方がリーマン危機のときより、深刻です。その他にも不透明な要素が多く単純に金額だけで判断すると間違えます。



世界第2位の経済大国、中国経済も大変厳しい状況にあります。
これは、楽観論がお好きな市場専門家も認めるところです。

●欧州の景気後退・中核国ドイツの経済危機

商業用不動産ローンの問題は、米国だけでなく、ドイツでも深刻です。
金利の高止まりに賃料の減少、建設コストの増加という「三重苦」が重くのしかかっています。

ドイツは、ロシア・ウクライナ戦争の影響で、高いエネルギーを買わされている。中国経済悪化の影響も大きく受けているのは、周知の通りです。

米国がこければ、欧州も連動してこける。
中国がくしゃみをすれば、欧州は風邪をひく。

南欧諸国は、コロナ後の観光業が復活して、潤っている面は、あります。

将来的には、多くの問題を抱えた通貨ユーロは崩壊すると思います。これは、まだ先の話で、すぐにはそのようになりません。

●中東問題、プランデミック、自然災害などの地政学的リスク

日記が長くなってきたので、ここは省略します。

プランデミックについては、書物も出版されています。
(現役の衆議院議員 原田一博氏の本など)

中東問題も複雑です。



想像できることは起きる。なぜならば、想像もできないことが起きるからです。

多くのことを想像できる人が優秀な投資家かもしれません。

リーマン・ショック級の金融危機が再来することは、容易に想像できます。

2025年か、2026年か? 時期がわからないだけ。

リーマン危機の前も、ほとんどの市場専門家は、バブルではないと言っていました。しかし、結果はバブルでした。

今回もバブルではないと言っている市場専門家はいますが、どうなるでしょうか?

歴史の教訓の通りであれば、バブルです。

「バブルは必ず崩壊する。しかし、いつ崩壊するのかわからない」

1件のコメントがあります
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こんにちは。

歴史は僅かな綻びから変化して来た様に感じます。
今日の様に情報社会と言われ誰もが意図も容易く色々な知識を得られますが、それが正しいものか間違っているものか正確に判断出来る人は少ないのでしょうね。

今回のお話も大変参考になりました、ありがとうございます。
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