「恐怖」に支配されて売りが売りを呼ぶ暴落が始まった!

優利加さん
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昨日の米国株式相場は急落した(DJIA -494.82 @40,347.92, NASDAQ -405.26 @17,194.15, S&P500 -75.62 @5,446.68)。ドル円為替レートは148円台後半での動きだった。本日の日本株は全面安となった。東証プライムでは、上昇銘柄数がわずか14に対して、下落銘柄数は1,626となった。騰落レシオは82.15%。東証プライムの売買代金は6兆6429億円。

TOPIX -166 @2,538
日経平均 -2,217円 @35,910円

米国では、寄り付き前に発表された新規失業保険申請件数が24.9万件(>予想23.6万件)と悪化し、さらに寄り付き後に発表された7月ISM製造業PMIが予想以上に悪化して46.8(<前月48.5、今月予想48.8)となった。これらを受けて、米10年債利回りは前日の4.105%から3.98%へ低下した。4%割れは2月1日以来である。このような相次ぐ景気減速を示す兆候に反応して、株価は大幅続落した。2008年秋の金融危機を想起させるような暴落である。ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時700ドルを超えた。9月利下げでは遅すぎて手遅れになる(景気後退、ハードランディングになる)とマーケットがFRBに警告を発しているようだ。主要3株価指数は揃って大幅続落し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は7%も急落した。

本日の東京市場では、米国株の大幅続落を受けて、値がさ半導体関連銘柄が軒並み大幅下落し、日経平均は自由落下のように暴落した。日経平均の下落率(5.8%、歴代29位)は2020年3月13日以来(新型コロナのパンデミック時)の大きさ、下げ幅(2,216円)では史上2番目の大きさ(ブラックマンデー翌日の1987年10月20日の3,836円、14.9%安に次ぐ)となり、36年10カ月ぶりの大暴落となった。急速な円高・ドル安の進行により投資家心理が弱っていたところへ、米国株の大幅続落が重なり、ますます「恐怖心」に駆られて売りが売りを呼んだ。東証グロース250指数先物は下落率が8%に達し、売買を強制停止する「サーキット・ブレーカー」が発動された。

信用買い残が7月5日申し込み時点でマイナス4.63%の危険水準(=天井が近いことを暗示)まで上昇する中、日経平均の日足チャートを見ると、7月12日に「アイランド・リバーサル」が示現して天井を打ったことを暗示した。7月17日に10日移動平均線を割り込み株価サイクル③(着実な上昇局面)を終了して、株価サイクル④(上げ止まりから反落初動局面)へ移行した。その後、株価は下向きの10日移動平均線を7月31日だけ僅かに回復したがそれ以外の日は明確にその下に沈み込んだままである。つまり、日経平均を見る限り、7月17日以来「時の利」は売りが続いており、逆張り建玉以外は新規買いができない相場が続いている。7月25日には昨年10月31日を起点とする上昇トレンドラインを明確に割り込んだ。8月1日は何とか持ち堪えたが、米国株の大幅続落に耐え切れず、本日8月2日は堰を切ったように暴落し始めた。

利上げが始まり、収益が拡大しそうな銀行株は売られるような理由がほとんど見当たらないにもかかわらず大きく売られた。強いて銀行株が売られる理由を探せば、今後米景気後退が深刻化し、それが世界経済及び日本経済をも巻き込んで世界主要国の経済が沈み込む可能性が非常に高いと感じるときだろう。これはシナリオとしては考えておくべきだが、今日現在で業種別下落率トップ2になるほど確実性が高いとは言えない。

マーケットが完全に「恐怖」に支配されている。少しでも追加の悪材料が出てくると過敏に反応する。日本時間で今夜(8月2日)10時半発表の7月米雇用統計は非農業部門の就業者数が1.4万人増(<予想17~19万人)と予想を下回った。恐怖心に駆られている今は、これは間違いなく投資家を狼狽売りに走らせ株価をさらに押し下げる。

8月3日午前1時0分現在、日経平均の時間外取引で日経平均はさらに3,600円も暴落して、34,500円を割り込んでいる。月曜日には東証プライムでサーキット・ブレーカーが発動されるかもしれない。こんな暴落はそう頻繁にあることではない。数十年に一度あるかないかという歴史的なイベントを我々は今、目撃している。暴落は比較的短期間でエネルギーを出し尽くすのでもう少し(1~2週間くらい?)の辛抱で、下げ渋りから下げ止まりへ移行する。そこから大バーゲンセールが始まる。楽しもう!

33業種中すべての業種が下げた。下落率トップ5は、証券(1位)、銀行(2位)、保険(3位)、電気機器(4位)、卸売(5位)となった。

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