TOPIX -47@2,700
日経平均 -712円 @38,102円
米国では、6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が65.5%(<前月69.1%、市場予想70.0%)へ悪化した一方、1年先期待インフレ率速報値は横ばい@3.3%となった。インフレ率の上昇がどうやら止まったと見て、米10年債利回りは4.24%から4.22%へ低下した。
本日の東京市場では、欧州議会選挙で与党が敗北したため、フランスのマクロン大統領が6月末に国民議会(=下院)の総選挙を実施すると突如、市場の虚を突いて発表した。EU議会の選挙のように極右政党が躍進するのではないかと警戒する投資家が増加し、欧州の政治不安が高まった。欧州株は勿論、仏国債は欧州危機の時のようにパニック的な急変動をした。反対にドイツ国債は買われて急上昇した。これが日本株相場を大きく押し下げた。
欧州での極右政党が台頭すると何が問題になるのか。まず極右政党の国民連合(RN)は人気取りのため付加価値税を下げると公約しているため、新型コロナウィルスのパンデミック対策で膨張した大幅財支出からの財政再建が遠のく。また、左派連合は年金改革や最低賃金の引き上げなど財政を圧迫させる人気取り政策を公約として掲げている。最悪の場合、英国のようにフランスのEU離脱のシナリオまで語る人が出て来た。
また、日銀の植田和男総裁が14日の金融政策決定会合の後で、長期国債の買い入れ減額は「相当な規模になる」と述べた。事実の量的引き締め(QT)に政策転換することを意味するが、具体的な内容については、7月の金融政策決定会合にて今後1~2年先の減額計画を決定する。日銀の金融政策を巡る不透明感が改めて意識されてこれも欧州政局不安と一緒に株式相場を下押しした。日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。
日経平均の日足チャートを見ると、各種移動平均線が収斂しつつあったが、本日、下放れした。これが一時的なものか継続的なものになるのかは、現段階では分からない。ただ、今日の下げは欧州の政局不安に過剰反応したものと、明日以降、マーケットが冷静に考えるようになれば、ある程度は戻るだろう。しかし、今日現在の2025年3月期の業績見通しは減益となっているので、国内事情だけでは最高値更新は難しいと見る。それでも、米国でFRBが9月にでも利下げに踏み切るシナリオが残っており、それが米国株を引き上げ、その波及効果で日本株も引き上げられる可能性は十分ある。
33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、不動産(1位)、石油・石炭(2位)、鉱業(3位)、非鉄金属(4位)、精密機器(5位)となった。