お婆さんの料理(6.6.17)13時12分

堅実さん

  まだ、3,4歳の頃か。お婆さんが、昼の用意に、よく野菜炒めを作った。野菜は、農家なので十分に有った。フライパンではなく、大きな鍋を、釣るして、油を入れ、野菜を炒めた。鍋の下は、桑の木を燃やした。蚕を飼育していたので、桑の木は十分あった。ただ、火加減が難しかった。


 油が温まって、野菜を入れると、ざーという、激しい音と、水分が、飛び散った。桑の木の煙も、随分出て目に染みる。少しだけれど、桑の燃えカスが、鍋の中に幾つか入った。しかし、お婆さんは、あれこれ調整できないので、そのまま、野菜を炒めた。


 この頃は野菜炒めとは言わないで「油炒め」と言っていた。近所の人が、お婆さんは、よく油炒めを作っていると、わたしに言った。2日に一度くらい、作ったのかなー。他に、調理方法も無いので、そうしたのだと思う。


 夜は、毎日、手作りの、うどんだった。家では小麦を栽培していて、小麦粉は農協の製粉工場で、粉にしてもらっていた。ほとんど、自給自足の時代だった。醤油も、自家製の醤油だった。


麺を伸ばす板の上に、小麦粉をまん中あたりに山にして、上に水が入るように広げて、水を入れ、手でこねる。疲れると、竹で作った、四角の編み物を小麦粉の上に乗せ、その上に立って、足で延ばすのである。


そして、また手でこねると。こうして次は、麺棒を転がしながら、小麦粉を薄く延ばす。ある程度薄くなると、次は、2つに別れる。


一つは上州名物の「お切込み」で、もう一つは、器械で、うどんを作るのである。


 ここでは「お切り込み」を書いてみる。薄くなったうどん粉を、麺きり包丁で、幅2センチ、長さ20センチくらいに切る。


 それを、鍋の中に、里芋、大根、人参、油揚げ、白菜など、季節の野菜を入れ、これと、一緒に、幅広うどんを入れて、一緒に、煮込むのである。これが「お切込み」である。鍋の中で、麺と野菜を、ぐつぐつ煮るので、醤油が麺にしみこみ、結構おいしかった。今は、もう、手間暇かかるので、「お切込み」を、作っている農家は、なくなってしまった。

 

8件のコメントがあります
1~8件 / 全8件
堅実さん
ちこ姉  さんへ

「うどん 自宅で作るのは 見たことも やったことも無いけれど 生うどんは 近くのクラブと言われてた所で 作ったのを買ってきて 食べた思い出があります。
色々な具材を入れた 幅広のうどんは 読んでるだけで美味しそうに思えます。」

ありがとう、ございます。
自宅で作るうどんは、手間暇が、かかります。
小麦粉を、水を、加えて、手で練ってから、こねて、(まるで、子供の粘土遊びです)それから、
大きな板の上で、麺棒で、薄くするのです。
ここまでは、蕎麦(そば)作りと、同じです。
薄くなった生地を、今度は、何枚かに、折り重ね、それを、麺を切る包丁で、好みの幅に、切るのです。
そして、鍋の中に、その時の、里芋、野菜や、竹輪、油揚げ、などど、一緒に、煮込むのです。
醤油が、麺の中に、しみ込み、当時としては、とても、美味しかったです。

とても、手間がかかるので、今では、この煮込みを作る農家は、無くなってしまいました。
食事が、パンになったり、ピザとか、あるいは、スーパーでの、弁当や、天ぷらなども、買う時代になったのです。
スーパーでも、生うどん、生蕎麦は売っている時代になりました。
時代が、変わっちゃったんです。
農家でも、米をスーパーで買う時代になりました。
私の、生家は、農家ですが、長男は、サラリーマンで、米は作らず、野菜専業で、米は、スーパーから買っているのです。




ちこ姉さん
堅実さん
今晩はぁ~。

うどん 自宅で作るのは 見たことも やったことも無いけれど 生うどんは 近くのクラブと言われてた所で 作ったのを買ってきて 食べた思い出があります。

色々な具材を入れた 幅広のうどんは 読んでるだけで美味しそうに思えます。
堅実さん
小督 さんへ

「私の祖母が野菜炒め(油炒め)を作っているのを見たことがないせいか、
ハイカラなおばあさまだな、と思いました。 
堅実さんの地方はうどんが主食だったのですね 」

ありがとう、ございます。
野菜炒めは、簡単なので、それが、理由だと、思います。
うどんが、主食だったのは、群馬県は、田んぼが少くなく、麦を作るのが中心だったのです。
おそらく、それが原因で、日清食品が群馬県で、生まれたのです。
それと、「ペヤング、ソース焼きそば」のペヤング(会社)が出来たのも、麦の産地からだと、思います。
「正田醤油」も、麦から、出来たのだと、思います。

「私の祖母が作る料理は煮物が多く、
油を使った料理は玉子焼きくらいしか思いつかないです

そうですか。煮物もよく、作りました。
里芋の荷転がし、おでんなどです。
卵焼きは、家で、鶏を飼っていたので、時々、卵焼きをたべました。
卵は、ゆで卵ではなく、新聞紙を、水でぬらして、卵を包み、かまどの、燃え残った中に入れると、むしやきになり、おいしく、食べられました。
小さい頃は、卵も高級品だったのです。

小督さん
こんばんは 

私の祖母が野菜炒め(油炒め)を作っているのを見たことがないせいか、
ハイカラなおばあさまだな、と思いました。 
堅実さんの地方はうどんが主食だったのですね 

私の祖母が作る料理は煮物が多く、
油を使った料理は玉子焼きくらいしか思いつかないです
堅実さん
ローズガーデン  さんへ

「昔のことをしっかりと覚えておられますね。
すごいです。
お切り込み美味しそうですね。
食べてみたいです。
少しだけ年代が違うのか地方によって違うのか堅実さんのお話は楽しみです。」

ありがとう、ございます。
自慢するのでは、ありませんが、小さい頃、近所の人から、この子は、頭がよいと、言われました。大人の話を、良く聞いて、そのことを、別の大人に、話すと、「まあ、この子は。」と、びっくりしておりました。
記憶力は、よかったようです。
小学4年生の時、全国一斉の「知能検査」では、6年生の、知能があると、言われ、担任を、びっくりさせました。
これは、この辺にして。

お切込みですが、これは、かつては、群馬県の、郷土料理でしたが、今では、作る家がなくなりました。それは、作るのに、手間がかかるからです。
別に、難しい、作り方では無いのですが、手間が、かかるので、作らなくなったのです。
農家でも、コンビニ弁当を、買う時代になったからです。
ケンタッキー、フライドチキンとか、食べる内容が、変わってしまったのです。
今は、生家では、米を作りません。野菜中心の農家で、米は、スーパーから買ってくる時代に、変わってしまいました。
農家の長男でも、農業をしないで、サラリーマンになる、時代になったのです。
よく、農林水産省が、米の価格を維持すると言いますが、これは、もう、時代に、合っていないのです。農家が米を買う時代に、なったからです。






こんにちは。

昔のことをしっかりと覚えておられますね。

すごいです。

お切り込み美味しそうですね。

食べてみたいです。

少しだけ年代が違うのか地方によって違うのか堅実さんのお話は楽しみです。
堅実さん
kouboudaisi  さんへ

「ここでは「お切り込み」を書いてみる。薄くなったうどん粉を、麺きり包丁で、幅2センチ、長さ20センチくらいに切る。

それを、鍋の中に、里芋、大根、人参、油揚げ、白菜など、季節の野菜を入れ、これと、一緒に、幅広うどんを入れて、一緒に、煮込むのである。これが「お切込み」である。鍋の中で、麺と野菜を、ぐつぐつ煮るので、醤油が麺にしみこみ、結構おいしかった。

山梨県のほうとう鍋より美味しそうに思えます。是非食べてみたいです。」


これは、煮込んだものです。

とにかく、作るのに、2時間くらい、かかりますので、今では、作る人が、いないです。

当時は、醤油が、麺に、しみ込み、おいしいものでした。

それに、食べ物も、無かった時代です。

自給自足の時代だったのです。

今の人は、うどん作りの、粉から作るのは、やらないです。

時代が、変わりました。




何時もお世話になっております。

>ここでは「お切り込み」を書いてみる。薄くなったうどん粉を、麺きり包丁で、幅2センチ、長さ20センチくらいに切る。

それを、鍋の中に、里芋、大根、人参、油揚げ、白菜など、季節の野菜を入れ、これと、一緒に、幅広うどんを入れて、一緒に、煮込むのである。これが「お切込み」である。鍋の中で、麺と野菜を、ぐつぐつ煮るので、醤油が麺にしみこみ、結構おいしかった。

山梨県のほうとう鍋より美味しそうに思えます。是非食べてみたいです。


堅実さんのブログ一覧