ヘッジ取引のため37,000円に近づくと急上昇しやすい!

優利加さん
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昨日の米国株式相場は続伸した(DJIA +156.00 @38,677.36, NASDAQ +147.65 @15,756,64, S&P500 +40.83 @4,995.06)。ドル円為替レートは148円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が584に対して、下落銘柄数は1,013となった。騰落レシオは111.84%。東証プライムの売買代金は5兆5622億円。

TOPIX +13 @2,563
日経平均 +743円 @36,863円

米国では、米10年債利回りは上げたが、予想以上に企業の第4四半期決算が好調なことと、エヌビディアやマイクロソフトなどのハイテク株が上げたことで相場全体を押し上げた。ダウ工業株30種平均は3日ぶりに史上最高値を更新し、S&P500も史上最高値を更新して主要3株価指数は揃って続伸した。

本日の東京市場では、前日の米国市場でエヌビディアなどの半導体銘柄が上がった流れを受けて、東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体銘柄を中心に値嵩株が上がり、さらに英アームズホールディングスが好決算発表により急騰し始めたため親会社のソフトバンクグループも大きく上昇した。さらに、日銀の内田真一副総裁が、マイナス金利政策の解除後も「どんどに利上げをしていくようなパス(道筋)は考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになる」と金融緩和的な姿勢を継続する旨の発言すると、日経平均は上げ幅を拡大した。日経平均の上げ幅は一時800円を超え、37,000円台に迫った。しかし、その割には東証プライムの約3分の1の銘柄しか上昇しなかったのに対して、下げた銘柄はその2倍ほどあったため、決して全面高となったわけではないことに留意する必要がある。本日の日経平均の急騰は一部の銘柄に対する需給の偏りであったことを暗示している。

8日に発表された投資部門別売買動向によれば、海外投資家は1月に2兆693億円買い越し、1982年以降で7番目の大きさだった。やはり外国人投資家の巨額なマネーが入っていた。しかし、外国人投資家の買い越し額は1月前半に集中しており、その後は米国の早期利下げ期待が遠のいたために円安・ドル高基調となり買いが減少した。1月第5週(1月29~2月2日)は5週連続で買い越しとはなったが、現物の買い越し額は1783億円に留まった。彼らはドル建てで評価するはずなので、円安・ドル高が進むと株高をその分だけ相殺するため日本株買いを躊躇する。ただ、2023年度末比では、今までのところドル建て日経平均は5%高(円建てなら10%高)で、米国のS&P500(5%高)と遜色ないが。外国人投資家による日本株の買い余力はまだあると言える。世界のグローバル株式を投資対象とするアクティブ運用ファンド)のMSCI EAFE指数(ベンチマーク)に占める日本株保有比率はまだ7%未満であるからである。

明日はテクニカルな需給要因により日経平均の値動きは荒ぽくなるかもしれない。それは日経平均のコール・オプション(買う権利)の建玉(未決済残高)が大きいからである。行使価格は36,000円のコールは2月物で3,684枚、37,000円は5,259枚ある。これに3月物も合計するとどちらの行使価格も10,000枚以上の建玉がある。コールオプションの売り方は株価が行使価格に近づいてくる(行使確率であるデルタが高まる)と、自分が売ったコールが買い方に行使される(コール・オプションの売り方から見ると先物を売らされる)ことに備えて、デルタ・ヘッジのため先物買い残高を増加させる。このような先物によるヘッジ売買が急増して37,000円に近づくと先物価格が急上昇しやすい。明日、2月9日はその動きを見越して投機筋が仕掛け的に先物を買い仕掛けして価格を釣り上げた後に、急に利益確定のために大量に売りを浴びせてくることもありうるので要注意である。

日経平均の日足チャートは長大陽線で上放れた。終値ではバブル崩壊後の戻り高値を更新して約34年ぶりの高値となった。ここまで来たら、バブル経済ピーク時の史上最高値を更新しに行くと見る。問題はその更新後にどう動くかである。考えられる短期的な動きは3つしかない。一つはそのまま高値を更新し続けて上げ続ける。2つ目は目標達成感から反落し始める。3つ目は横ばいとなる。

33業種中17業種が上げた。日経平均は長大陽線で急騰したのに約半分の業種しか上げていない。上昇率トップ5は、その他金融(1位)、その他製品(2位)、輸送用機器(3位)、電気機器(4位)、医薬品(5位)となった。

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