「期待」だけでさらに上昇するのは難しそうだ

優利加さん
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昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -94.45 @37,266.67, NASDAQ -88.73, @14,855.62, S&P500 -26.77 @4,739.21)。ドル円為替レートは147円台後半での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。 東証プライムでは、上昇銘柄数が863に対して、下落銘柄数は729となった。騰落レシオは124.27%。東証プライムの売買代金は3兆9982億円。

TOPIX -4 @2,492
日経平均 -12円 @35,466円

米国では、米12月小売売上高が予想以上に強い結果(前月比+0.6%>予想+0.4%、11月実績+0.3%)となり、早期利下げ期待が後退して米10年債利回りが4.1%台前半まで上昇した。これを受けて主要3株価指数は揃って下げた。

本日の東京市場では、高値警戒感が強い中、利益確定売りの力がやや強く、日経平均は小安く引けた。ただ、米長期金利の上昇を背景に、円相場が1ドル=148円台まで円安・ドル高が進行したことを好感して輸出企業の業績拡大が期待され、トヨタは実質的な上場来高値を更新した。上昇は一服しているが、先高観はまだ強い。それでも、来週から本格化する各企業の決算発表と日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたいとして様子見ムードも出てきている。

新年に入ってからこれまでの日本株の上昇は企業業績の拡大ではなく、高まる期待により上昇して来た。日経平均ベースの予想EPSは2023年11月初めからずっと2,200円前後で推移しており増加はしていない。この数週間急上昇して来た原動力は「期待」、つまり、予想PERの拡大であった。2023年11月1日の13.68倍に対して、1月17日の15.67倍である。

これ以上の高値は期待だけでは「ガス欠」を起こすだろう。企業業績の拡大という「実弾」が伴わないと難しい。新NISA開始による個人投資家の買いが期待されているが、これまでの実績(投資主体別売買動向)を見ると個人投資家は買いどころか、むしろ売り越している。その代わり、財務省発表の対外及び対内証券売買契約によれば1月7日から13日までの期間を見る限り、国内投資家による海外株投資は7,833億円の買い越しとなったことがわかる。つまり、個人投資家は「期待通り」株を買ったが、それは日本株ではなく主に海外株だった。足元の円安・ドル高についても持続力に疑問符が付く。日米金融政策のベクトルの方向の違いにより今は大きな日米金利差により円安・ドル高基調が続いているが、いずれ日銀は金融緩和政策を解除し、反対に米FRBは金融引き締めを終了することは確実である。問題はそれが起こるか否かではなく、いつ起こるかのみである。

日経平均の日足チャートを見ると、下げて始まったが切り返して長めの上ひげを引いた短陽線で終えた。昨日も上ひげを引いた陰線で終えており、上値の重さを示している。

33業種中23業種が下げた。下落率トップ5は、陸運(1位)、保険(2位)、電気・ガス(3位)、化学(4位)、医薬品(5位)となった。

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