「裁定買い残」解消のための現物売りが終了したようだ

優利加さん
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昨日の米国株式相場は続落した(DJIA - 251.63 @32,784.30, NASDAQ -225.62 @12,595.61, S&P500 -49.54 @4,137.23)。ドル円為替レートは150円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,555に対して、下落銘柄数は92となった。騰落レシオは83.63。東証プライムの売買代金は3兆5383億円。

TOPIX +30 @2,255
日経平均 +390 @30,992円

米国では、決算内容が悪かったメタ・プラットフォームが下落したことに加えて、前日に9.51%急落していたアルファベットもさらに2.65%下落した。さらに、前日には好決算を発表して上げていたマイクロソフトも3.75%安となった。エヌビディアもアップルもハイテク株が軒並み売られて下げた。結局、主要3株価指数は続落した。

本日の東京市場では、米国株の続落にも拘わらず、昨日は日経平均が668円安と急落していたことから自律反発狙いの海外短期筋による株価指数先物への買いが優勢となった。さらに、米長期金利の上昇が一服したことも支援材料となった。ただ、今週末は日米で金融政策決定会合を控えているため、一段の上値追いには慎重だった。

特段の買い材料はなかったが、今日反発した主な要因は「裁定買い取引」の反対売買による需給の変化だろう。株価が上昇する時、多くの場合、先高観からまず先物価格が現物よりも先に上げるため割高となる傾向が強い。すると、割高な先物を売り、割安な現物を買うという「現物買い・先物売り」=「裁定買い取引」が行われる。このままSQまで待てば先物価格と現物価格は期日には必ず同一価格となるので、利益は保証されるのでとても美味しい「裁定だけと最高の取り引き」ができる。しかし、より早く、より大きく儲けることも可能である。割高だった先物価格が十分割安になったときに反対売買をすれば良い。そのタイミングが今日だったようだ。日経平均先物を使った「裁定買い残」(チャートを参照)は9月中旬にピークを付けた後、日経平均と同じように一貫して下げて来た。その過程で「裁定買い残」の持ち高解消のため「現物売り・先物買い」が行われて下げ相場を加速する。やがて裁定買い残が十分減少してくるとちょっとしたきっかけですぐに裁定取引の利益確定のための「現物買い・先物売り」がどっと出て裁定買い残が最低水準になる。こうなると現物売りはほとんど出て来なくなる。潮目が変化して先高と見ると大口投資家はまず流動性が高い先物で買いポジションを作り始める。その結果、下げが止まるのである。裁定買い残の推移と日経平均の推移を比較してみると、なぜ日経平均が今年6月下旬に下げ始め、8月中旬には反転し始め、9月中旬からまた下げ始めたのか納得できるでしょう。「株価の原理原則」を理解しているとはこういうことも含みます。裁定残金額推移 | 東証集計速報 |【裁定取引】 (nikkei225fut.jp)

日経平均の日足チャートを見ると、昨日は大きくギャップダウンして始まると長陰線で急落したが、本日は前日の長陰線にたすきを掛けるように長陽線で切り返す「たすき線」となった。これにより下方向の力はひとまず打ち消された。10月4日安値@30,487円の目前まで、昨日10月26日はザラバで30,567円に迫った(目標達成)が、本日は切り返した。

ただ、これから大きく反発するとはまだ期待しない方が良い。株式相場を取り巻く相場の背景はほとんど改善していないからだ。米景気が強すぎてインフレがなかなか止まらないため米長期金利はまだ当面は高止まりしそうだし、日銀は長短金利操作(YCC)を再修正して長期金利の上昇を容認しそう(1.5%まで)な雰囲気である。イスラエル軍によるガザ地区への地上戦が早晩始まるのはほぼ確実である。これらすべては株価に下押し圧力として働く。トレーダーにはきめ細かい建玉操作が求められる局面と言える。

波乗り十八番銘柄のN株は本日手仕舞いして利益確定しました。「円月殺法音無しの構え」が基本建玉法なので相場の波の揺れに身を任せてその都度構えを少しずつ変えているだけです。

33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、鉱業(2位)、非鉄金属(3位)、金属製品(4位)、証券(5位)となった。

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