TOPIX +34 @2,300
日経平均 +546円 @32,170円
米国では、カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でパウエルFRB議長が講演をした。事前の予想通り、金融引き締めに積極的なタカ派的な発言だったため、一時は売り優勢となった。年内にもう一回だけ追加利上げがありそうだが、それが最後であるとマーケットは見ており、1年前とは異なり今は利上げ周期の終盤である。トンネルの向こうに明かりが見え始めているとの見方が優勢となり、切り返して上げて終えた。ダウ平均の上げ幅は一時は300ドルを超えた。
米国株の上昇を受けて、本日の東京株式市場も上げた。ファーストリテイリングや東京などの値嵩株を中心に買われて日経平均は大きく上昇した。今日から株式取引の印紙税が下がることを好感して上海総合指数と香港ハンセン指数が上昇すると、日本株の買いを心理的に支えた。しかし、福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、日中関係が急速に悪化しているため、百貨店、空運、陸運などのインバウンド銘柄が売られた。
処理水海洋放出を巡り抗議や嫌がらせ電話が日本各地で相次いでおり、さらに日本への団体旅行キャンセルの動きが一部メディアで報道されている。16歳から24歳までの都市部の若者の失業率が6月には21.3%と過去最悪と更新すると、中国政府は突然、8月からの若者の失業率の公表を中止すると発表したことは記憶に新しい。それほど中国国内の個人消費は振るわず、日本へのインバウンド消費の回復が遠のくと危惧したマーケットの反応が今日の日本株の特徴だった。しかし、只でさえ物価水準が低く、清潔で治安が良い日本は、1ドル=146円台の円安が加わると中進国以上の外国から見れば「超お買い得」に感じるはずである。例え中国からのインバウンド需要が期待したほどなくても、他国からの旅行者が増加するだろう。また、今期業績予想の上昇修正の割合から下方修正の割合を引いて計算するリビジョン・インデスクの値(野村など大手証券が算出しているが、トレーダーズウェブのHPからデータを集め続ければ個人でも計算できる)は7月第1週から8週続けてプラスで推移している。つまり、日本企業全体で見ると、業績見通しは改善し続けているということである。
日経平均の日足チャートを見ると、先週の金曜日に割り込んだ10日移動平均線を本日再び回復した。まずは数日以内に下向きの25日移動平均線の上に再浮上できるかどうかに注目している。
33業種中、空運と陸運を除くと31業種が上げた。上昇率トップ5は、機械(1位)、石油・石炭(2位)、鉄鋼(3位)、ゴム製品(4位)、輸送用機器(5位)となった。