TOPIX -36 @2,302
日経平均 -769円 @32,808円
7月の米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが支配的となったが、それに先立つ経済指標は総じて弱い結果となったのでFRBによる追加利上げの可能性は低くなり、長期金利は下がるはずなのだが、実際には米10年債利回りが4.029%(+0.072%)上がった。ダウ工業株30種平均は上げたが、長期金利の上昇に敏感なナスダックは下げた。
日本時間の朝方、大手格付け会社フィッチ・レーティングが米国の長期外貨建て発行体格付けを最上級のAAAからら1ランク下のAA+へ引き下げた。米国長期金利の上昇だけでなく、日本の長期金利も一時0.625%(2014年4月以来)へ上昇した。YCC運用の柔軟化が決定された今、長期金利は1.0%まで上昇しうるため、長期金利の先高観が高まりやすい。正午頃には1ドル=143円30銭台まで円安・ドル高が進んでいたが、リスクオン相場からリスクオフ相場へ切り替わったとの観点から安全資産である円を買い、円高・ドル安方向へ揺り戻された。他方、危険資産である株は売られた。
ナスダックの下落の流れに加えて、長期金利の上昇により理論株価がより大きく下げる成長株(東京エレクトロンやアドバンテストなど)を中心に売られて日経平均は急落した。日経平均の下げ幅は一時800円を超えた。前日2日間の上昇幅717円を1日で帳消しにした。ただ、決算内容が良かったトヨタは逆行高となった。他方、決算内容が市場予想以下だった野村HD(9%安)やコニカミノルタ(一時10%安)は急落した。
ただでさえ8月は中旬にかけて海外勢が休暇に入るので「夏枯れ相場」となり易いところへ、株安を促す悪材料が飛び出して来た。しかし、マーケットの反応は敏感すぎる。なぜなら米国政府の国債はほとんどすべて米ドル建てで、それ以外の通貨の発行はほぼなく、格下げにより米国債を売らざるを得ない投資家・国債保有者は存在しない。したがって、金融市場への影響は限定的であるからである。
日経平均の日足チャートを見ると、7月31日に空けた窓を長大陰線完全に埋め、且つ、25日移動平均線10日移動平均線も下抜けた。これで7月3日のバブル崩壊後の戻り高値@33,753円の更新はさらに遠のいた。「米国債格付け格下げショック」を米国株式相場がこれからどのように解釈し、どのように反応するか次第で、日本株が更に一段下がるか、持ち堪えるかが決まるはずだ。
33業種中、鉱業と輸送用機器を除く31業種が下げた。下落率トップ5は、証券(1位)、保険(2位)、電気・ガス(3位)、精密機器(4位)、空運(5位)となった。