TOPIX +15 @2,161
日経平均 +317円 @31,234円
米債務上限引き上げを巡る与野党協議の進展を期待して、米株式相場は大幅高となった。エヌビディアの好決算を好感する動きも続いた。
米株式市場が終わってから、バイデン米大統領と米連坊議会もマッカーシー下院議長が米政府債務の法定上限を引き上げることで基本合意したと報道されたことから、本日の日本株は寄り付きから大幅高となった。海外勢による株価指数先物がまず買われて現物が追いかけ、日経平均は一時640円以上上げて、バブル崩壊後の戻り高値@31,086円を更新した。ただ、高値更新の主力は相変わらず一部の値がさ主力株(東京エレクトロンやアドバンテスト、信越化学、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループなど)に偏っており、バブルの時のように日本株全体が買われているわけではないことに注意が必要である。内需株の一角は逆に売られており、さらに中国での新型コロナウィルス感染再拡大を受けてインバウンド需要期待が強いJR東海や資生堂も売られた。また、円安・ドル高進行なのにトヨタ自動車も売られた。
米債務上限の引き上げは米国債増発を意味するため、財政悪化懸念から米国債の格付け引き下げの可能性が高まる。米国債増発は米長期金利上昇を意味し、米長期金利上昇はドル高・円安を意味する。そしてその通り、本日の外為市場では1ドル=140円台のドル高・円安となった。もし、実際に格下げとなると2011年に「AAA」から「AA-」へS&Pが格下げした時のように市場が動揺して株安となることも念頭に置いておく必要がある。
後場に入って日経平均は伸び悩み、利食い売り圧力に押されて反落して陰線で終えた。先高を期待しすぎる余り短期的な過熱感を冷ます調整がほとんどないため危うい上昇が続いている。債務上限問題を巡る与野党協議は当面の峠は越えたものの、まだ上下両院で承認される必要があり、否決されることもありうるということを市場は忘れているかのような動きである。さらに、仮に債務上限問題が当面は解決したとすると、米連邦準備制度理事会(FRB)は心理的に次の追加利上げ(0.25%)を決めやすくなるが、これは株価を押し下げる圧力となる。
日経平均の日足チャートを見ると、2日連続で窓を空けて続伸してバブル崩壊後の戻り高値を更新したたが、本日のローソク足は上ひげを引いた陰線で終えた。このチャートの形では、十中八九、明日は下げて始まると見ている。特に悪い材料が飛び出して来ないことを前提に、その後は調整を繰り返しながら高値圏で保ち合いながら、今年秋から冬にかけてのどこかで米FRBが利上げ終了宣言をすると再び高値を力強く更新するといのが今現在描いている中心シナリオである。但し、これはあくまで日経平均をけん引する主力値がさ株の動きであって、指数構成銘柄であっても底値圏でもがいている銘柄も少なくない。
33業種中29業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、卸売り(2位)、銀行(3位)、保険(4位)、鉱業(5位)となった。