一部の強い銘柄の上昇が株価指数の上昇をけん引

優利加さん
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昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -36.46 @33,012.14, NASDAQ -22.16 @12,343.05, S&P500 -26.38 @4,109.90)。ドル円為替レートは136円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かったが、主力銘柄が上昇したため株価指数は上昇した。東証プライムでは、上昇銘柄数が758に対して、下落銘柄数は1,007となった。騰落レシオは143.31%。東証プライムの売買代金は3兆3542億円。

TOPIX +6 @2,134
日経平均 +251円 @30,094円

米債務上限問題が重しとなっている中、ホーム・デポが予想以上の減収決算と通期見通しの引き下げを行ったことで多くの消費関連銘柄が売られた。その結果、米国株は主要3株価指数が揃って下げた。

しかし、今の日本株、特に、日経平均は強く、5日連続で上昇し、遂に大台の3万円を回復した。3万円台回復は2019年9月28日以来1年8カ月ぶりである。円安・ドル高の進行により輸出関連銘柄が買われ、特に日経平均に占めるウェイトが高い値がさハイテク株が買われた。さら、売り方の買戻しも入り、米国株の下落にも拘わらず、大きく続伸した。また、2023年1~3月期の日本の実質GDP成長率は年率換算で+1.6%となり、市場予想の+0.7%を上回ったことも相場センチメントを支えた。ただ、日経平均はTOPIXなどの株価指数は上昇したが、東証プライムでは、上昇銘柄数は下落銘柄数よりも少なかった。つまり日本株全体が上げたのではなく、一部の強い銘柄の上昇が株価指数の上昇をけん引した。

このような日本株に対する強気の背景では、(1)欧米各国とは異なり金融緩和政策がまだしばらくは継続する見通しであること、(2) 東証によるPBR1倍割れ銘柄に対する是正勧告、(3)買いを躊躇っていた投資家が「持たざるリスク」に突き動かされて買っていること、の3つの要因が働いている。本日、半導体関連銘柄が買われたのは、岸田首相が5月18日に米台湾の半導体大手と面会して、日本への投資や拠点開設などについて意見交換すると報道されたことが材料と見られる。

ただ、諸手を上げて喜んでばかりもいられない。米国経済を見ると、米国債10年物利回り(3.5%程度)と3カ月物短期国債(5.2%程度)の金利差は1.7%もの逆イールドとなっている。5月4日には1.9%の逆イールドを記録しており、この差は1981年以来の大きさである。10年物利回りと3カ月物利回りの逆イールド幅が1.7%以上に拡大したのは過去100年間でたった125日しかない。逆イールドは景気後退のシグナルとよく言われるが、それには理由がある。銀行融資が消極的になることが一つの理由である。なぜか。銀行のビジネスモデルは短期で資金を調達して長期で運用することである。したがって、逆イールドが進むと、調達コストは上昇しているのに、運用利回りは低いため逆ザヤとなり銀行経営を圧迫し、銀行は守りの姿勢に入るから市場にお金が出回りにくくなる。その結果、景気後退を引き起こすと考えられる。

33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、空運(1位)、パルプ・紙(2位)、保険(3位)、陸運(4位)、銀行(5位)となった。

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