TOPIX +13 @2,096
日経平均 +262円 @29,388円
4月の米生産者物価指数(PPI)は前年比+2.3%(前月比+0.2%)となり、市場予想の+2.5%(前月比+0.3%)を下回った。さらに、新規失業保険申請者数は26.4万件と市場予想の24.5万件(先週発表分は24.2万件)を上回り失業者数が増えて来た、つまり、労働市場の過熱感がやや低下してきたことを示す。これらの統計数値を受けて、米10年債利回りは前日の3.44%から3.38%へ低下した。米ドル金利の低下を反映して前日比ドル安・円高となった。米長期金利の低下を好感して、金利に敏感なハイテク成長株は堅調な動きを示した。しかし、パックウェスト・バンコープの預金が5月第1週に9.5%減少したことが分かり、地銀の経営不安が再燃した。これに加えて米債務上限問題の懸念も根強く、ダウ工業株30種平均は下げた。
本日の日経平均は上げて2021年11月下旬以来、約1年半ぶりの高値を付けた。利上げが続く米国株式相場と比較して金融緩和政策が今しばらくは継続するであろう日本株相場は買い安心感があるようだ。決算発表の内容が良かった銘柄は素直に買われている。また、FOMO (Fear of Missing Out)、つまり、相場が上がる過程で、特に買う理由が見つからなくても自分だけが買わないと「自分だけが乗り遅れるという恐怖」に駆り立てられて、買いがさらに買いを呼ぶ現象が起こっているという指摘もある。では誰がFOMOに駆り立てられて買っているかというと、外国人投資家である。投資部門別売買動向を見ると、5月第1週(1~2日)に現物と先物の合計で約4600億円買い越しており、今年に入ってから5月第1週までに3兆6000億円買い越して来た。ただ、上がるから買うというやり方は売り方が買い戻すのでしばらくは上がるが、早晩限界が来る。株式相場が持続的に上げるためには、それなりのファンダメンタルズの変化による裏付けが必要である。例えば、米国が利上げを停止し、後はいつ利下げが始まるかというような変化である。また、早ければ6月1日にも起こりうる米政府の資金繰りの行き詰まり、つまり債務上限問題は特に景気敏感株を押し下げている。国益を顧みず党利党略のために動いている議員が多いのか、与野党の協議は今のところ進展が見られない。万が一、資金繰りに行き詰まり、米国債がデフォルトを起こすとその影響は米国市場に留まらず、燎原の火のごとく一瞬にして世界中に拡大して大混乱をもたらす。2011年と2013年にも同じような危機があった。そのままだとデフォルトが起こる日の2週間くらい前から米国株式相場は下落に転じ、その巻き添えを喰らって日本株相場も最大で7%下落した。歴史は繰り返さないが韻を踏む。用心に越したことはない。
日経平均の日足チャートを見ると、昨年8月17日の戻り高値@29,222円を終値ベースで上抜けした。これが意味することは何か。仮に日経平均とほぼ同じポートフォリオで買いポジションを組んでいたとすると昨年8月17日以降どのタイミングで買っていたとしても、全員が含み益を持っていることを意味すする。換言すれば、誰一人として損切りする必要性がない、つまり、ロスカットのために売り急ぐ必要性がない状態となったということである。勿論、利益確定目的で売る圧力が全くなくなるわけではないが。
33業種中20業種が上げた。上昇率トップ5は、水産・農林(1位)、精密機械(2位)、ゴム製品(3位)、輸送用機器(4位)、電気・ガス(5位)となった。